かの名刑事・古畑任三郎の原点を描く、まさかの特別編。家庭の事情で、とある田舎の村に引っ越してきた中学生の古畑任三郎。シャーロック・ホームズを愛読し、優れた推理能力を示した若き古畑は、そこで親しくなった向島少年の薦めで探偵事務所を開設する。依頼などそんなに来るはずがない、と高を括っていた古畑だったが、案に相違して、毎晩のように奇妙な事件が持ち込まれるのだった……
三谷幸喜が自ら、「若い日の古畑に相応しい人材を見つけた」と売り込んだらしいですが、なるほど山田涼介は見事な嵌りっぷりでした。本人もちゃんと研究してきているのか、古畑が若くなったらこんな感じだろう、というのをよく再現しています。
随所にオリジナル・シリーズにおける言動を彷彿とさせる描写を交えながら、あえて少年向け探偵もののように細かい事件を積み重ねていき、最後にひとつに束ねていく趣向もいい。少し凝りすぎて無茶も多いのですが、カタルシスと最後の展開が如何にも過去のエピソードとして説得力があったので私は評価します。
……しかし、これだけの経験を共有しているのに、すっきり向島のことを忘れていた古畑ってどれだけ薄情なんだか。最終スペシャルのなかで悲劇に見舞われた向島のその後が案外幸せそうなので、ちょっとだけ安心しました。
コメント