『ゴルゴ13』Target.19 硝子の要塞

 洋上に浮かぶ、硝子で覆われた孤島。ヘロイン漬けの女性達を、救済を装って連れ出し、体力を回復させたうえで臓器提供に用いる目的で販売するウォルトンを守るために、射撃の名手である用心棒が万全を期して設計した、それは完璧な要塞であった。抜け穴はただひとつ、女たちの娯楽のために設けられたプールの上だけ――ウォルトンたちの狙撃を依頼されたゴルゴは、如何にしてこの難関を突破するのか……?

 ゴルゴの超絶技巧をまざまざと見せつける1話。あえて、ターゲットとなる人物に怨みを抱く者と、ゴルゴに対する依頼者を別にすることで、感情に囚われない仕事ぶりをよけいに強調すると共に、依頼者=復讐者の場合では薄れる感傷を少しだけ印象的に描いている。この匙加減、ゴルゴの世界観にはなかなかよく馴染むようです。

 絵の濃さは相変わらずながら、今回は若い女性を、声優の力も含めて印象づけることで、少しばかり舞台に相応しい映像的な明るさを表現しているのもちょっと異色で面白い。接地していないお陰もあるのでしょうが、3DCGによるヘリコプターの描写も、他の回の乗用車のような違和感がないので、お話としても映像としてもあまり苛立つことなく最後まで楽しめたという、実はけっこう高水準の回でした。

 ……ただ、若干でもゴルゴの話すシーンが増えていたために、久々に舘ひろしの声優としての拙さを実感してしまったのが残念。ようやく聴く側としては慣れてきたんですが、当人は出番が少ないせいもあってまだ慣れてないご様子で……。

コメント

タイトルとURLをコピーしました