涼子と泉田が踏み込んだ部屋、まるでセットのような一室のベッドに寝かされていたのは――さながら涼子を幼くしたような少女。兵器が彼女に対して攻撃を加えないことを察知して、涼子たちは少女を楯に脱出し自宅に連れ帰るが、少女は何故か泉田に奇妙に懐くのだった……
……うーん、ますます間違った路線に向かっているとしか思えない。このシリーズの面白さは涼子がしばしばあからさまに、時として必死に隠しながら泉田にアプローチする様を描くのが魅力のひとつのはずなのに、まったく同じ容姿と同じ心持ちで、心身ともに年齢を下げたキャラクターを提示してしまったら、一時的にでもその焦点がぶれるでしょーが。あとで恢復する方法はありますが、そもそもここまででそういうシリーズの良さを充分に切り取っていないだけに不安のほうが募ります。
そういう観点を除けば、特に問題はない――というより、クライマックスの大きな枠のなかで次に繋げていくエピソードのはずで、現段階であれこれ言うべきではないでしょう。全般に、怪奇事件簿は怪奇事件簿でも、原作ラインの幻想小説をベースとした怪奇から、『怪奇大作戦』風のB級SFに近づいている気配がぷんぷんしていて、それもまた違うといや違うんですが……まあいいわ。絵のクオリティは保たれているので、話以外のところで苛立たされることはありませんし。
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