『ガリレオ』第0章 操縦(あやつ)る

 劇場版公開に合わせて、ドラマシリーズの前日譚に位置づけされるスペシャル・ドラマが放送。訳あって録画は出来ませんでしたが、リアルタイムで視聴しましたのだ。

 湯川と内海が出逢う3年前。とあるリゾート地で発生した火災において、中から発見された遺体が刺されていたことが判明する。しかし部屋は施錠され、中から誰も脱出できない状態であった。捜査を担当する草薙は、何らかの有益な情報が得られないかと訪れた母校で、かつて自分を救ってくれた“名探偵”である草薙と再会し、彼に協力を求める……

 単行本未収録エピソード2本に基づいているため、どの程度原作通りなのかは窺い知るベクもありませんが、少なくともドラマ・シリーズの約束に繋がる描写を丁寧にちりばめていて、こちらは間違いなく当初のシリーズで『ガリレオ』に魅せられた人は楽しめるでしょう。内海が出ていないことを除けば、ほぼ完璧にドラマ本篇のまんま。より湯川がお茶目になっていたりするのは、映画のほうで抑え加減にした影響かも知れません。

 本題のほうは大仕掛けが光っていますが、ちょっと人間描写に変な外連味をつけすぎたのが勿体ない。もうちょっと普通にやっていても良かったでしょうに。ラストで人情味を盛り込んできたのが取って付けたようで、個人的には逆に鼻につきました。

 途中で軽く語られる学生時代のエピソードは、単体では難しい人を食った展開がユニークなのですが、こっちはこっちで若き日の湯川と草薙の演技が作中時間における現在の二人と違いが目立ちすぎていて落ち着きが悪かった。むしろここの見所は、長髪で眼鏡という出で立ちで登場する渡辺いっけいだったかも。

 どうもまとまりは悪いし、全体に水増し感は否めませんが、映画版が重すぎると感じるような層、或いは純粋にドラマシリーズの軽さを認めているような人は充分に堪能できる出来だったと思います。ドラマ版本放送時も何度も言ってますが、私はこれはこれでアリ。

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