本日は、待ち焦がれていた作品の、初日舞台挨拶つき上映のチケットを押さえてあったので、電車にて新宿へ。ちょこっと用足しをしていた都合で遅れましたが、開場から開映までけっこう余裕が取ってあったためゆうゆう間に合いました。
作品は、前々から注目していた俳優・榊英雄がメガフォンを取った長篇映画第2作、なかむらみつるの作品をもとに、家族の姿を描き出した感動のドラマ『ぼくのおばあちゃん』(キノシタ・マネージメント・配給)。終盤には本当に劇場の随所から啜り泣きが聞こえてきた、と書けば、方向性と出来は察していただけるでしょう。正直に言えば、私も目頭が熱くなりました。ちょっとあざといと思いながらも。
上映後に、お目当ての舞台挨拶が開催されました。登壇したのは、タイトルロールである“おばあちゃん”役の菅井きん、視点人物を演じた岡本健一に、その中学生時代を演じた吉原拓弥、同じく幼少時代を担当した伊澤柾樹、八百屋の親父に扮した寺島進に、主人公の上司役だった船越英一郎、そして監督の榊英雄の計6人。
話題の中心は当然ながら、史上最年長での主演女優としてギネスにも認定されたという菅井きんでしたが、個人的に興味深かったのは、榊監督と寺島・船越両氏たち役者仲間の関係性でした。寺島は榊監督の第1作でも重要な役割で出演しているだけあって終始監督を動揺させていましたし、TVドラマでの共演が多い船越は、やっと出してもらえたのに出番が少なすぎると愚痴りつつ異常なくらいこの作品をプッシュしてました。中学生の智宏を演じた吉原少年の素直な言葉に乗っかって笑いを取り、湧かせる呼吸もさすが。
しかし何よりも印象的だったのはそのあと、フォトセッションでのひと幕です。だいぶ進んだあとで寺島が不意に手を挙げたと思うと、こんなことを言った。
「俺の嫁さんを演じた、深浦加奈子さんのことを覚えていてください」
今年の夏、48歳の若さで亡くなった彼女の、映画としては最期の出演作が本篇だったそうです。
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