読了報告

 やっと読み終わった……長かった。どうも話が進まない、と苛々しつつ読んでいたんですが、いざ最後まで辿り着いてみると結構面白かった気がする。訳者があとがきで“20世紀最後の奇書”と表現しているのを目にした瞬間、あ、なるほど、と不意に思いつくものがありました。これはたぶん、SF版『ドグラ・マグラ』という見方をすると解り易い――それ自体がよく解らん、というのはおいといて、扱っている題材とか異様な衒学趣味とか、読んでいる側までが作品世界に取り込まれてしまいそうな錯覚に陥りかけるあたりも近い印象。読むことが出来て幸いでした、私は。

 映画版はまったく話が別物になってますが、巧いことエッセンスを抽出し、世界観を極力温存した上で娯楽映画に仕立てているので、あれはあれで充分いい仕事だったと思います。たぶんああする以外に、一般観客にも受け入れられる映画にする方法はなかった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました