レンタルDVD鑑賞日記その66。

 南米からの移民が多く暮らす地区で事故が発生、規定に従いトランクを開けてみると、そこには掘り出された死体があった。ブレナン博士とブース捜査官が呼び出され検証を始めようとした矢先に襲撃を受け、死体をトランクに詰めていた車の運転手は逃走してしまう。ブース捜査官が現地のギャングを足掛かりに運転手を追っているあいだ、死体の検証をしていたブレナン博士は、だが幾つもの予想外の事実を炙り出していく……

 意外なところから発見された死体をきっかけに、抉り出されているのは移民問題全般という、このシリーズの手法で社会派のテーマを採り上げたエピソードになってます。当初ギャング絡みの事件かと思っていたら、埋葬されていた場所が判明すると次から次へと意外な方向へ流れていく。

 非常にミステリらしい成り行きの果てに、けっこういい話で決着しているのもユニーク。いや、そこには確かに色々な悲劇が顕わになっていくのですが、悪意を持っている人間はほとんど登場しないし、ブレナン博士が結果的に極めてマイノリティ寄りの物の考え方をしていることを示し、いつになくヒューマニズムを見せているのも面白い。最後の最後で、ブース捜査官の“相棒”に対する気遣いも垣間見せて、結果として最後まで心温まる話になってました――ギャング絡みの話は終始不穏でしたけど。

    • 第17話『7人目の死体』

 中国の外交官を乗せた飛行機が墜落、政府の要請で出動したブレナン博士と助手のザックは、奇妙な事実を発見する。飛行機に搭乗していたのは5人、しかし現場にあった人骨は7人分、しかもうちの1人は飛行機に乗っていたのではなく、墜落現場に埋められていた可能性があった。政府の依頼により、飛行機に搭乗していた6人目の調査を急がせる所長に対し、ブレナン博士は7人目の死の真相を特定することに拘った――

 こちらもユニークな発端ですが、重点を置いて描かれているのは、ブレナン博士とジェファソニアン博物館の同僚たち、そしてブース捜査官たちの奇妙な絆の形です。始終ブース捜査官に無視されているのにそれが信頼の形と言われて真に受けているザックとか、互いに高圧的に出て相手の反応を面白がっているようなところがあるホッジンスと所長とか、確かに変わっているのですが、実際彼らはこれで巧く行っているのだから面白い。

 今回は導入が終わったところで登場する、行方不明の父を捜し続けている男の存在が、ブレナン博士の消えた両親に対する想いを抉り出しているのも興味深い。そのことが彼女のブース捜査官に対する信頼を示し、そしてどうやら次回の新展開に繋がっていく模様。

 戦慄の拷問映画、続篇。前作はSonyからのリリースだったお陰でさっさとブルーレイ版が登場しましたが、こちらは発売元が違うために未だブルーレイは登場しておらず、仕方なくDVDにて鑑賞。

 あちこちで目にする感想通り、前作よりグロテスクな描写は抑えめ、結末もあの絶望的な余韻は薄れて、ちょっとあっさりとした印象。ただ、基本的な構成は意識して前作を踏まえているのに、異なったツイストを仕掛けるのに成功しているあたりの、“ちゃーんと解ってます”感はさすが。最後の行動にしても、ちゃんと伏線が行き届いてますから、驚き、ちょっと感心します。最後の最後で爽快感と共にブラックな笑いを齎しているのもナイスで、終わっての印象は前作と異なり、その意味でちょっと期待外れという感想を抱きがちですが、続篇としては優秀な出来だと思います。

 ……しかし前作を観たときは、目が醒めるくらいの緊迫感と、尾を引く衝撃のお陰で、作業続きで生じていた眠気が吹っ飛んでしまいましたが、今回はそこまでの効果がなかったのが残念。今月やたらと凶悪な映画ばっかり観たせいで、すっかり慣れてしまった、というのもあるのでしょーけど。

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