レンタルDVD鑑賞日記その73。

 思わず2枚も観てしまいました。片方は昨日、冒頭30分ぐらい観ていたので、実質1時間程度ではありましたが。

いのちの食べかた』に続いて食べ物ドキュメンタリーを鑑賞。こちらは現在のアメリカ食品産業の花形であり、実はアメリカの健康被害の温床ともなっているトウモロコシ栽培の実態を、卒業したての大学生ふたりが実際に育ててみるところから検証する、というもの。

 地味ですが語り口がとても平易で、論理の道筋が非常に明確。序盤はまだ脳天気なふたりの表情が次第に硬くなっていくのがリアルです。かといって今のトウモロコシ農業は悪だから止めろ、というのではなく、何故そうなったのかにも目を向け、問題意識を喚起するに留める匙加減もいい、シンプルながら優秀なドキュメンタリーでした。

 情報が出回った時点から気にしていて、日本の配給会社が決まったときに喜び、公開日もちゃんとチェックしていたのに、何だかんだで観逃してしまった作品です。元日にリリースされるのに合わせてレンタルの返却時期を調整、無事に発売即借りることに成功しました。……なのであんまり後回しにしたくなかったの。

 江戸川乱歩の小説を、『完全犯罪クラブ』のバーベット・シュローダー監督が現代、しかもフランス人を主人公に映画化したもの……と聞くととんでもない代物に思えますが、これが案外よくできている。いや、確かに論理展開は突拍子もないし手懸かりも乏しかったり無理があったりしますが、それはそもそも乱歩の原作自体が孕んでいる問題点で、むしろ乱歩の世界観やトリックの趣旨をうまく噛み砕いて翻案していると思います。外国人の監督が京都や祇園を採り上げると描写が大袈裟になったり使っている意味が皆無になったりしますが、この作品は描写もかなり堂に入ってますし、わざわざ芸妓を登場させる必然性もある。

 あと個人的にポイントが大きい、と感じたのは、使用する言語のバランスです。主人公は基本フランス語ですが、一部で英語を用いている。日本人のほうは主要登場人物がフランス語を操るのは当然ながら、他の人はところどころで片言の英語を話すなどして、言葉の使い分けにリアリティがあります。外国の映画だと、日本人がほとんどあちらの言葉で話したり、逆に異常すぎるくらい聞き取れなかったり、という部分で歯痒さを覚えることがあったので、ここだけでも結構好感触でした。

 imdbでの点数はあまりよくありませんが、これはむしろ日本人のほうが受け入れやすいかも。何にしても、予想外の拾い物でした。

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