爆笑問題withタイタンシネマライブ#86 at TOHOシネマズ日比谷。

 12月8日の映画鑑賞のあと、爆笑問題withタイタンシネマライブ#86を鑑賞してきました……どうでもいいけど、お願いだから近い時間に複数の作品の上映開始をまとめるのはやめて欲しい。売店の売上げが劇場にとって重要なのは知っているから、このイベントのときは特に利用したいのに、上映開始時間が密集しているせいで、各作品のお客が一斉に集まってくるため、毎回コンセッションの混雑が酷い。今回、食事を済ませたあと、上映開始の20分前に到着したのに、どう考えても間に合わないくらい列が出来ていたので、とうとう買うのを断念しました。本当に、軽食をよそで確保してくるぞ、今度こそ。今回のところは、先月の風邪引き以降、まだちょっと残っている咳対策に常備しているのど飴を舐めつつ小腹を誤魔化して鑑賞しました。

 本篇前のオープニング映像は、《タイタンの配信》で公開予定の、爆問・田中がずっと続けている、野球について語るイベント《田中裕二の野球部》の2023年ペナントレース振り返り編の予告代わりの抜粋。ここで採り上げている出来事がなかなか衝撃的でした。ただの偶然なのは解ってるけど。
 オープニング映像を挟んでからの本篇トップバッターは、まんじゅう大帝国。インドに自分探しに行きたい、という竹内が抱く懸念を打ち明ける、という筋立ての漫才なのですが、ツッコミの田中がどんどんパニックに陥っていく。なかなかいい着眼点です。M-1ではもうひとつ伸び悩んでいる感がありますが、既に貫禄は生まれて来ていると思う。
 2番手は春とヒコーキ。VTuberネタではよくある展開、ですがそこにもうひと匙加えて地獄にしてます。しかも、絶対に起きないとは言えない状況で、笑えるけれどちょっと怖い。オチの台詞は言い得て妙。
 3番手はネコニスズ。若手の台頭でしばらくシネマライブから遠ざかり、コロナ禍が落ち着いてきた頃合いから復帰したこのふたり、舘野のキャラが立ってきたことで、ネタの流れが固まってきて、以前よりも面白くなってきた。テレビでは使ってもらえないだろうけれど、私は好きだ。
 4番目の登壇はダニエルズ。コントではよく登場するゾンビが侵蝕していく世界、という設定を、このコンビお馴染みのひねり方をしている。たぶんこのライブの常連客は、もうあさひが女性を演じていることに何ら違和感を抱いていない。なんなら、ときどき男性として演じているのが不自然に感じるくらいです。今回も、この状況でもある意味変わらない夫婦のリアルを巧みにネタにしてます。
 お次は本日最初のゲスト枠、ファイヤーサンダー。エンディングトークでの本人たちの発言によれば、いちばん自信のあるネタだそうです。確かに面白かった。ミステリファンとしては心が沸き立つ“ダイイングメッセージ”を題材としていて、冒頭から成り行きは想像がつくのですが、お笑いとして振り切った展開が楽しい。
 ふたたびタイタンメンバーに戻り、お次はキュウ。相変わらずの言葉遊びが過ぎるネタながら、いつものような意味不明さを残しつつも、状況が解りやすく、彼らのネタでもわりあい親しみやすいかも知れません。しばらくのあいだ、焼肉を食べるたびに思い出しそうだ。
 続いてはシティホテル3号室。果たして構成作家が狙っていたのかどうか、いきなり押田が焼肉を焼いているところから始まったせいで、本人は何も仕掛けてないのに会場が沸く始末。これで本筋が受けなかったらなおさらに気の毒ですが、少々品のない仕掛けを用意しつつもちゃんと笑いを取っていたので問題なし。終盤に入るあたりの、川合の熱弁に一部、妙な説得力があるのも効果的です。
 ここでゲストふた組目はアイデンティティ。もはや素顔に戻れなくなった田島はお馴染みの野沢雅子メイクで登場ですが、いつもの悟空口調ではなく、リアルな野沢雅子に寄せてきた。本来、漫才師として達者なので、ネタもきっちりまとめてるんですが、今日のは禁じ手の気がしなくもない。本人もエンディングトークで、罪悪感を覚えた、みたいなことを言っていた。でも面白かったので、私に不満はない。真似されている方の心証は知りません。
 お次はまたタイタン枠に戻り、お馴染みの脳みそ夫。このところ映像を駆使したネタで、けっこう巧く観客の心を掴んでいたのですが、今回は映像を使ってなお、前の脳みそ夫に戻ってしまった感じ。仕掛けるたんびに空振りして、失笑という形で笑いを拾っていた。まあ、ある意味本来の脳みそ夫らしい。
 お次は爆問を除いたタイタン枠の大トリ、M-1王者のウエストランドです。このところ勝利を掴んだあるなしクイズに依存していましたが、最近また少しネタを練り始めたのか、久々にちょっとひねった切り口で仕掛けてきた。とはいえ、やっぱり最終的に井口が変なところで怒り始めるわけですが。とはいえ、もはや安定感も醸してきたので、安心して観ていられます……突然こっちに矛先向かなきゃ、ね。
 続いては通常、大トリひとつ手前が定位置の常連ゲスト、BOOMER&プリンプリン。甲子園を目指しているのに、怪我で長期入院している中学生の球児をプロ野球選手が慰問に訪れる――という設定の中でいつものノリを展開します。今回加藤のツッコミが強すぎて田中が半ばキレて、結果として変なトラブルに発展する、という想定外の部分は面白かった。つまりほぼいつも通り。
 通常回では大トリの爆笑問題がここで登場。流行語大賞から始まり、いつも通りの時事ネタの畳みかけ……かと思いきや、終盤は最近太田がお気に入りのネタを軸にして、今年の様々な問題をまとめてぶった切る、というか圧縮していく、ちょっと変わった趣向に。ネタとしては他の芸人も食いついているものですが、太田らしい執着ぶりが楽しかった。
 今回の大トリは初登場のスペシャルゲスト、西川のりお師匠です。登場の段階からボケなのか天然なのか解らないやり取りを挟んで、センターマイクでの漫談に突入。吉本のベテラン勢のエピソードを中心に語りまくる。途中に池乃めだか師匠が足湯に首まで浸かった、なんて話が紛れ込んでくるから、どこからどこまでが事実か窺い知れないものがありますが、吉本の劇場の雰囲気や重鎮たちの生態が垣間見えて面白い。下手をするといつまでも話し続けそうな雰囲気でしたが、どうやらスタッフからの“巻き”がかかって終了した模様……だって終わるときには既に21時半で、残り15分しかないんだもの。いつもならエンディングトークに30分は設けているので、そりゃあ急がせます。
 というわけでやや窮屈だったエンディングトークも、さっさと全員を呼び出したうえでのりお師匠大暴れ。太田の傍若無人ぶりに怯えているようでいて、ちゃんと場の空気を掴んでしまっているのがさすがです。師匠はまだ喋りたいようで、もしかしたら次回も登場するかも。

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