たとえ自分で選んだ道ではなくても。

 多忙な日の最初のイベントは――通院です。今回は、人工透析に必要な血管の状態を確認するため、手術を受けた池袋のクリニックへ。
 行き先は池袋です……いつも、時間がうまく噛み合うなら映画も観たいな、とか考えるのですが、如何せん所要時間が読めないので、調整がつかず実現した試しがない。今回はそもそも、そんな余裕もありません。
 案の定と言うべきか、今日は珍しく診察開始が30分遅くなった。専門分野が定まっているこのクリニックでは、あまり待たされることはなかったのですが、どうも早く来られた方を先に通したところ、思いのほか時間がかかったらしい。やっぱり、病院通いのときは余裕をもってスケジュールを組んだ方がいいようです。
 このあと、ここでの診察帰りに必ず買って行く、かるかやの手打ちうどんが、都合により営業開始を遅らせていたため入手出来ない、というオマケもついて、いったん帰宅。代わりにセブンイレブンの冷凍さぬきうどんを使ったお昼をいただくと、ひとまず仮眠――珍しく素速く目が醒めて、ちょうど届いたメールへの返信をまとめたりしつつ時間を潰し、空が暮れなずんだところでふたたびお出かけ。

 向かったのはTOHOシネマズ日比谷、しかも宝塚劇場地下のスクリーン13……あんなに寒々とした宝塚劇場は初めて見た気がする。まあ、私のほうはファンではないので、完全に他人事なのですが。
 鑑賞したのは P.A.WORKSの“お仕事”シリーズ最新作、やる気のない新人ライターの目を通し、地震で打撃を被った蒸留所の再起に奮闘する若き社長を描く駒田蒸留所へようこそ』(GAGA配給)
 くだんの“お仕事”シリーズは、コロナ禍が始まりじわじわと封切の本数が減って観るものがなくなってきていた時期に鑑賞した『劇場版SHIROBAKO』くらいしか観てません。なのに本篇を観ようと思ったのは……基本的に早見沙織の声が好き、というのが第一だったりするが、そのなかでもウイスキーの蒸留所、という題材が気になったから。早めに観るつもりでいたものの、上映時間や劇場がこちらの都合と噛み合わず、半ば諦めていたところへ、本日のメインイベントであるタイタンシネマライブと絶妙に噛み合う時間に美味くかかっていたので、ここぞとばかり観ることにした次第。
 噂どおり、かなり誠実な内容。東日本大震災も含みつつ、職に向き合う姿勢を丁寧に描いている。やる気のないライターが、家業を漫然と継いで成功したかのように捉えていた女性が、様々な苦しみの末にウイスキー作りを選び、そのうえでなおも苦闘している姿にやがて触発されていく、そのさまがリアルで、なおかつ清々しい。新人ライターが仕事のへの臨み方に目醒めた直後の描写があんまり鮮やかすぎてやや失笑しましたが、それもまたアリ。そのあと、ちゃんとやらかしてますし。
 きちんと長篇ドラマとしての山場も盛り込まれていて、実に地に足の着いた仕上がり。強いて難癖をつけるなら、あんましアニメである必然性が見出せなかった点ですが、そのぶん、きちんと取材したウイスキー作りの描写や、その丁寧な美術には価値がある。アレを実写でやろうとすると、セットとかがなかなかの手間になるのも事実だし。
 加えて、ありがちなある要素を排したのも好感が持てる……と書きたかったけど、ラストのとある描写で若干グレーになっていた。まあ、別に嫌いではないので私は許す。いずれにせよ、大人が観て心地よいドラマです。

 鑑賞後は、しばらく来ないあいだに夜は居酒屋仕様になった日比谷ラーメンアベニューにて、やや早い夕食。
 飲んべえばっかりになってたらいやだな、と少々警戒してましたが、まだ客の入りが乏しいこの時間帯では、くだを巻くような人間もなく、食事だけでも問題はなかった。印象的な変化は、以前はフードコート風に呼び出されて料理を取りに行き、回収口に戻してから店を出るのが基本だったのに、配膳も片付けも店員の方が代わりにしてくれるようになっていたこと。たぶん酔客にセルフサービスは無理、という判断なのでしょうが、こういうところで酔うことのない私にもちょっと有り難い変更点でした。メニュー自体は基本、変わっていないようなので、今後も日比谷界隈で困ったときには立ち寄ります。
 食後は、こんどは東京ミッドタウン日比谷の4階のほうのTOHOシネマズ日比谷へ。本日のメインイベントである爆笑問題withタイタンシネマライブ#86です……が、以下は項を改めて記します。たぶん明日のネタに回す。

コメント

タイトルとURLをコピーしました