『キャタピラー』若松孝二監督による質疑応答含む有料試写会atTCC試写室

 最近の映画業界はツイッター経由で様々なイベントを仕掛けるのがちょっとした流行になっているようですが、そんななかで目を惹いたのが、この試写会。銀座、というか新橋駅の近くにあるTCC試写室にて、普通は無料で催すのが一般的である試写会を、1000円の特別料金にて行う、というもの。若松孝二監督による質疑応答もあるし、会場となっているTCC試写室は以前1回だけ訪れた際、その佇まいが妙にツボに嵌っていたので、久々に再訪したいとも思って申し込んでみました。

 昨日中に済ませようと思っていた作業に手こずり、徹夜した挙句、変な具合に睡眠を取ってどーにか頭を覚醒させたのちに現地へ。地下にあるせいか、空調はあるのに若干蒸し暑い――まあそれはいいんですが、iPhoneにてメールの着信を確かめようとしたら、ソフトバンクの回線がまったく届かなかったため、会場入りしてからいったん外に出る羽目に。auはちゃんと入るのにー。

 それはともかく本題。キャタピラー』(若松プロダクション×スコーレ・配給)は、寺島しのぶベルリン国際映画祭で日本人として35年振りに最優秀女優賞を獲得した作品、しかもヌードに挑んでいる、ということで話題になっていますが、四肢を失った兵士と、彼に尽くさざるを得ない妻の姿を通して、戦争のグロテスクな側面を抉り取った作品です。乱歩『芋虫』に想を得たことは監督自身、上映後の話の中で認めていましたが、しかしそこは忘れた方がいい。人間洞察の巧みさ、それを平明に綴る手腕自体も優れてますが、単純に反戦映画として傑出した1本でした。

 上映後の若松孝二監督の話と質疑応答について、少しばかり詳細にレポートするつもりでメモを取っていましたが、やめておきます。というのも、すごく丁寧に話してくださったので、調子に乗って記録を取った結果、他の舞台挨拶などでは1ページも使わない映画用のノートを3ページぐらい消耗してしまったから。整理整頓する気力は、徹夜明けでグロッキーな私にはありません。

 ひとつだけ、最後の質疑応答で訊ねようと思っていたことがあり、その点について私が訊ねるまでもなく別の質問の流れで語ってくださったので触れておきます。

 本編のエンディングには、元ちとせの『死んだ女の子』が使われています。戦場に赴いた兵士を歌った、のではなく広島で原爆によって死んだ女の子の視点で歌ったもので、名曲なのですが主題が本篇とちょっと異なっているように思え、首を傾げていたのです。実際に最後で流れてきた瞬間、意図は理解出来たのですが、監督によればこの曲は、寺島しのぶの関係者から初号試写のあとに薦められ、感銘を受けて急遽使用することに決めたのだとか。

 他にも本当にたくさん語ってくださいましたが、ほんとーに現在グロッキーなので省略致します。けっこうマスコミ関係者も多くいらしていたようなので、きっと何処かでもっと詳細なレポートが出て来ると思います。

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