『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』

『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』

原題:“The A-Team” / 監督:ジョー・カーナハン / 脚本:ジョー・カーナハン、ブライアン・ブルーム、スキップ・ウッズ / 製作:トニー・スコット、ジュールズ・ダリー、スティーヴン・J・キャネル、アレックス・ヤング、イアイン・スミス、スパイク・セルディン / 製作総指揮:リドリー・スコット、マーク・シルヴェストリ、ロス・ファンガー / キャラクター創造:スティーヴン・J・キャネル、フランク・ルポ / 撮影監督:マウロ・フィオーレ,ASC / プロダクション・デザイナー:チャールズ・ウッド / 編集:ロジャー・バートン、ジム・メイ / 衣装:ベッツィ・ハイマン / 音楽:アラン・シルヴェストリ / 出演:リーアム・ニーソンブラッドリー・クーパー、シャルト・コプリー、クイントン・“ランペイジ”・ジャクソンジェシカ・ビールパトリック・ウィルソン、ジェラルド・マクレイニー、ヘンリー・ツェーニー、ユル・ヴァスケス、ブライアン・ブルーム、モーリー・スターリング、テリー・チェン、オマリ・ハードウィック、ダーク・ベネディクト、ドワイト・シュルツ / 配給:20世紀フォックス

2010年アメリカ作品 / 上映時間:1時間58分 / 日本語字幕:林完治

2010年8月20日日本公開

公式サイト : http://www.ateam-movie.jp/

TOHOシネマズ有楽座にて初見(2010/08/20)



[粗筋]

 今からおよそ10年前、メキシコから物語は始まった。

 特殊任務を帯びたテンプルトン・ペック、通称“フェイス”(ブラッドリー・クーパー)は、だがターゲットの妻と懇ろになってしまい、逆に囚われてしまう。彼を救出するために現地に飛んだ上官のジョン・“ハンニバル”・スミス(リーアム・ニーソン)もまた一度囚われの身となるが、すんでのところで脱出に成功した。

 フェイスのもとへと急ぐ途中、止めたバンを運転していたのが、ボスコ・バラカス、通称“B・A”(クイントン・“ランペイジ”・ジャクソン)である。ハンニバルは当初バンを奪うつもりでいたが、B・Aが不慮の出来事で解雇されたもとレンジャー隊員であることを知ると、仲間に引き入れた。

 どうにか回収したフェイス共々、現地の軍病院に駆け込むと、ハンニバルは最後の一手を打つために、急遽ヘリコプターのパイロットを召集する。選ばれたのは、凄腕ながら奇行が多く、精神病患者として収容されていたH・M・マードック(シャルト・コプリー)。復讐のために病院を襲うターゲットを回避し、翻弄するマードックの操縦術はまさにクレイジーで、ハンニバルの作戦を見事に達成すると同時に、B・Aの心にトラウマを植え付けてしまう。

 だが、この揃いも揃ってイカれた4人はそのままアルファ部隊――通称“Aチーム”を結成した。どんな難事であっても、「作戦は奇を以て良しとすべし」をモットーとするハンニバルの荒唐無稽な策によって解決してしまう彼らは、多くのミッションを成功に導くのだった。

 そして時は過ぎ、出逢いから8年後。イラクでの長い任務を終え、帰還の準備を進めていたAチームのもとに、複数の客が訪れる。それが、Aチーム最大の試練の始まりであった……

[感想]

 一時代を築きあげた傑作TVドラマ・シリーズのリメイクである――が、生憎と私は本篇の原作についてほとんど記憶がない。故に、配役がハマっているのか、とか世界観はちゃんと活きているのか、というところから判断することは出来ない。

 ただ本篇には、確かにシリーズものとして蓄積した雰囲気を活かしているからこその面白さがある、と感じた。そうでなければこの情熱や力強さは説明がつかない。

 まず、メインとなるAチーム4人の人物像の完成度は並大抵ではない。破天荒な計画を飄々と提示し、自らも現場で一戦力として貢献して見事成功させてしまう、クレイジーな智将ハンニバルに、危険を招くと解っていても美女とのアヴァンチュールを優先し、それでもハンニバルを尊敬し任務はきっちりと果たしてしまうフェイス。初登場からして明らかに心の病で収容されていて刑務所も医療刑務所、本当に頭がおかしいように見えて、実はすべて演技ではないかと思わせる怪しさが魅力のマードック。そして空挺出身の最強の肉体派でありながら、初対面のときにマードックの操縦するヘリコプターに乗せられたことで飛行機恐怖症に陥ったB・A。全員くっきりと個性が際立ちながら、作戦行動時にはコマとして過不足なく役割を果たし絶妙なチームワークを示す。このバランスの良さは、既に完成されたキャラクターをきちんと汲み上げているからこそ可能なレベルだろう。

 そして、何箇所かで提示される計画の荒唐無稽さと爽快感は尋常ではない。破天荒なパイロットであるマードックを除けば、それぞれの特異な才能が著しく発揮されるわけではないのだが、この個性的な男たちの身体能力と信頼関係なくしてはとうてい実現できそうもない、バカなのか頭がいいのかさっぱり不明な作戦が見事に完成される瞬間には、呆れつつも胸のすく感覚が味わえる。ところどころ物理現象を過剰に解釈しているのでは、さすがにそこまで緻密に計画を練るのは無理だろ、と首をひねるところもあるが、むしろそのあり得ないほどの強引さこそ本篇の愉しさだろう。

 こうした、恐らくは本来のシリーズに存在していた良さ、面白さを吸収しつつも、恐らくはオリジナルであろう脇役のキャラクターもきっちり固まっており、サスペンス、謎解き、アクションと随所に貢献しているのもいい。フェイスと一時関係があったことから、ある意味で作中誰よりもAチームのことを理解しているソーサ大尉(ジェシカ・ビール)はそのために随所で観客のための説明役をこなしつつ、フェイスとの微妙なやり取りで魅せてくれるし、CIA職員のリンチ(パトリック・ウィルソン)などは実に見事なハッタリを披露してAチームの向こうを張ってみせる。

 しかもこれだけ完成されたキャラクター、大規模なアクションを操りながら、からくりもなかなかに入り組んでいて、解き明かされる際のカタルシスもあるのが凄い――もっともこの部分については、いささか込み入っているために、人によっては若干事態の推移を把握しかねて戸惑うかも知れないが、少し考えれば納得のいくところなのでさほど問題はあるまい。

 結末には微かに理不尽なものをちらつかせながらも、そのあとにこの男たちに相応しいオチをつけて溜飲を下げてくれる。至れり尽くせりの、尻尾まで実の詰まった極上の娯楽映画である。

 ――ただ、現実にやったら百回ぐらい死んでてもおかしくないような真似ばかりしでかしているし、窮地にあっても事態を愉しんでいるような姿は、生真面目な方だと苛立つ可能性もあるので、御自身の適性とご相談の上、観るか否か決めていただきたい。少しでもムズムズするような感覚があるのなら、迷わず劇場に足を運ぶべきだ。このど派手なアクションを大画面で鑑賞しない手はない。

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