子供連れで観る映画じゃないと思うんだ。[午前十時の映画祭(65)]

 今週は台風が接近するため、水曜日から金曜日まで天気予報に雨マークがついている。まあ、その場合電車で出かければいいことですが、何となく六本木へは運動がてら自転車で出かけたい、という気持ちがあるので、ギリギリ陽気の保つ今日のうちに午前十時の映画祭《青の50本》を観てきました。

 今週の作品は、アカデミー賞作品賞受賞、ジョン・ヴォイトダスティン・ホフマンの共演で、野望を抱いてニューヨークに移りながらも、理想と食い違い底辺の暮らしに喘ぐ若者の姿を描いた真夜中のカーボーイ』(日本ユナイテッド・アーティスツ配給)

 何となく、『大いなる西部』をそっくりひっくり返したような感じ。カウボーイ、という突き抜けた象徴を用いて明瞭にしていますが、いま観ても共感を抱く、苦い青春映画です。最近、CMにも用いられている主題歌の軽快さが、終わってみると実にもの寂しい。

 作中、ベッドシーンに同性愛を仄めかす場面もあって、まあ文芸作品なのできちんと配慮すればよし、ということでレーティングはPG12に設定されているのですが、それでも家族連れで観るには間違いなく不適当。

 が、上映開始10分ぐらいしたあたりで、ひそめてはいますが妙に可愛らしい声が後ろにある通路のほうから聞こえてきて、ふと振り返ってみると――外人らしき親子連れの姿があり、いましも席に着こうとしている。本気かいこれを家族で観るんかい、と訝りつつもスクリーンのほうに顔を戻し、だいぶ経ってから振り向くと、さっき座っていたはずの席に見当たらない。

 たぶん、別の作品と間違えたんだろうなー、と思ったのですが、あとでスケジュール表を確認しても、どうも該当する作品がない……『カーズ』とかはもう本篇が始まってから30分ぐらい経っているし、外人だったことを思うと『コクリコ坂から』は……いや、日本で生活している子供なら字幕なしで愉しめるか? 何にしても、あの家族の行方がちょっと気になっている私でありました。

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