病み上がりですが、試写会が当たったので、2日連続で六本木へ。しかも、早くも自転車での移動を再開しました……あんまりサボると身体がなまりそうだったので。その代わり、ふだんの所用時間より余裕をとって出発。
訪れたのは、いつものTOHOシネマズ、ではなく、シネマート六本木。『メタルヘッド』試写会以来の訪問です……最近わたし、ここには試写会でしか来ていない気がします。申し訳ないので、近いうちにいちどお金を払って観ることにしよう……うん。
作品は、タランティーノ&ロドリゲスの『グラインドハウス』のアメリカ公開時に催された、フェイク予告篇のコンテストで入選した作品を、実際に長篇映画として製作してしまった、まさにB級感丸出しのヴァイオレンス『ホーボー・ウィズ・ショットガン』(Showgate配給)。
上映の前に、トークイベントが開催されました。登壇したのは岸部四郎氏。実に約半年ぶりに公の場に現れた、ということですが、車椅子に座り、係の方に押されての登場でした。
「最近、足が動きません。原因は解らないんですが、動きません」
……のっけからネガティヴな挨拶で、このあとどうなるかと思ったのですが、これが変に面白かった。
タイトルの“ホーボー”には“流れ者”という意味があり、“日本のホーボー”ということで岸部氏が招かれたそうですが、まあ話の頼りないこと。映画は観た、というので司会が見所は、と訊ねると「ショットガンをバンバンやるところ」……主演のルトガー・ハウアーはかつて『ブレードランナー』に出演していたのでそのことに司会が触れると、「以前はよく映画を観てました」と言い、しかしどうも胡乱な粗筋を語り出す。率直に言って司会の方もあんまし話の回し方が巧くない(“公の場”を“こうのば”と読んだのを聞き逃してないぞ俺は)ので、余計にちぐはぐなやり取りになり、それが却っておかしかった。
そしてとどめは、最初に触れた足の件に司会者が触れ、「マネージャーの方からお訊きしたところによれば、ここしばらくのあいだに2回ぐらい、仮病で仕事をさぼったことがあるそうですが……?」。違いますよ、と穏やかに否定されてましたが、正直、真偽の程はもうよく解りません。なんにせよ、映画の内容とはほとんど関係のないトークでしたが、これはこれで愉しかった。
フォトセッションののち、岸部氏、司会が退場すると、いよいよ本篇。こちらはある意味堂々たるB級作品。チープでストーリー自体の練り込みは浅い、その代わり意味もなく人が傷つき死んでいき、予定調和よりも扇情的であること、面白くなることに意欲を注いだその姿勢が素晴らしい。主役をルトガー・ハウアーが演じることで、表情や台詞に奥行きが生まれ、独特のダンディズムを感じさせるのもいい。R-18+の指定を受けるだけあって、慣れていない人にはそうとうきつい代物でしょうが、それこそ『グラインドハウス』に欣喜雀躍したような人は観ておいていいと思います。
鑑賞後もゆっくり帰宅。不思議なことに、昼食の時点まではまだ胃に倦怠感があって多くは食べられない、という気分だったのに、帰宅後はもう意識することなく、普通に食べてました。つまり何か、私は動いていた方が健康だ、ってことか?
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