総決算気分。

 昨日までに、滞らせていた書類作業をどーにか片付けて、今日は3日ぶりの映画鑑賞へ……普通の人なら3日の間隔なんて短すぎるんでしょうけれど、今年の私のペースからすると空きすぎた気分になるから困る。

 今日の1本は、私にとって今年の総決算に近い。昨年あたりから、古い映画を観る愉しさに目醒め、午前十時の映画祭や6月に開催された“美女と探偵”の企画に触れるうちに、ある想いを抱くようになっていました――日本映画の名作も劇場で鑑賞したい、と。とりわけ、日本映画の地位を高めた黒澤明監督の作品をスクリーンで観たい、とずーっと思っていたのです。これだけ映画を大量に観ておいて未だに黒澤映画にきちんと触れていない、というのはけっこう引け目になっていたのですが、ここまで観ずに引っ張ると、可能な限りスクリーンで観たい、という気分にもなってくる。とりわけ、最高傑作の誉れ高い七人の侍』(東宝配給)は是非とも劇場で初体験をしてみたい。

 ……まさか、2011年のうちに叶うとは思ってませんでした。

 有楽町にあるスバル座は、建物や上映作品の系統を変えつつも続いている老舗の劇場で、今年65周年となります。これを記念して、これまでにスバル座で上映された作品の中から人気の高いものをセレクト、“オールタイム ベストムービー イン スバル座 メモリアル65TH”と銘打って、12月10日から年明けの1月20日までにかけて、数日おきに作品を入れ換えて上映しているのです。そのなかに、『七人の侍』も入っていた。

 上映は今日から25日まで。……人気作ゆえでしょう、明らかにクリスマス前後の休日を狙ってスケジュールを組んでいる。23日以降は混むのが予想されるので、私のように混雑があんまり好きでない人間が行くのに相応しいのは今日をおいて他にない。というわけで、朝から観てきました。

 ……いやあ、確かに、面白かった。

 途中休憩を含めて約3時間40分ほどでしょうか、まったく飽きることもなく、あっという間の感さえある。間をきちんと織り込みながらもテンポが良く、描写の奥行きは深い。戦闘場面の精緻な考証、そのなかで繰り広げられる重層的なドラマ。まったく隙がありません。個人的にはもう少し斬り合いで魅せて欲しかったようにも思うのですが、それは好みの問題に過ぎない。何にしても、映画館で初体験をしたのは正解でした。

 ちなみにこのスバル座の特別企画、他にも観たい作品があるので、あと2回ぐらいは訪れる予定。

コメント

タイトルとURLをコピーしました