先々週の『ディア・ハンター』で午前十時の映画祭が終了したため、六本木に毎週通う必要がなくなりました。とはいえ、週１でうどん屋に寄るのが習慣のようになってしまったし、純粋にお気に入りなので、なるべく六本木界隈で映画を観る用事を作って訪れるようにしよう、と考えていたところ、さっそく理由が出来たのです――ふたつも。
ひとつは、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて、2011年に好評を博した作品のなかから選んだ数本を上映する企画。都合のいいことに、気になっていたけれど観逃した、というのが含まれていたため、それを拾うつもりでいました。
もうひとつは、シネマート六本木です。ここでは以前も、劇場公開なしでＤＶＤリリースが決まってしまった作品を期間限定で上映する、という企画をやっていたのですが、先週から２週間限定で、私にとっては観逃せない作品がかけられることになった。
ただ、都合が悪いことに、後者は夕方以降の上映になっている。件のうどん屋はかなり夜遅くまで営業していますが、私としてはお昼に訪れたい。まあ、こちらは日を変えて、食事抜きで観に来ることにしよう、などと暢気に考えていた。
ところが、ご存知の通り、以前の六本木訪問以来、著しい体調不良に見舞われた。先週あたりまで満足に出かけることも出来ず、TOHOシネマズの2011セレクションのうち、私のお目当ての作品が上映される最終日が来てしまった。２日連続で六本木訪問はめんどくさいし、それ以前に金曜日は金曜日で、可能なら別の作品に充てたい事情がある。
そんなわけで、朝10時からの作品を観たあと、近くのネットカフェで時間を潰し、19時から２本目を観る――という、もはやハシゴと呼ぶには不自然すぎるスケジュールを組む羽目になってしまいました。あまりに時間が空きすぎるので、出来ることならその合間にもう１本、というのも考えたのですが、そーいうときに限って、しっくりハマる作品がなかったりする。押さえておきたい別作品はやや尺が長く、時間的にはちょうどいいけど休む時間がない、という問題があり、あとは１回観たものや、あまり気乗りのしない作品ばかりだったのです。
ともあれ、久々に自転車にて六本木へ――小雨がぱらついてましたが、濡れるというほどではなかったのが幸いでした。
１本目、TOHOシネマズ六本木にて鑑賞したのは、名優・原田芳雄の遺作となった、素人歌舞伎を名物とする村での騒動を描いた人情コメディ『大鹿村騒動記』(東映配給)。
気にはなりつつも、遺作となってしまった、という事情に加え、生前の原田芳雄が見せていたこだわりが強すぎて、逆に出来映えはどうなのか、という疑問を抱いてしまい、やや二の足を踏んでいました。折角の機会だから、と鑑賞してみたら――とんでもない、普通に快い良品でした。こんなことを言っては何ですが、これが遺作となったのは、俳優としては幸せな部類に属すると思う。詳しい感想は明日アップします。
鑑賞後、約半月ぶりにうどん屋にて食事を摂り、夜に鑑賞する作品のチケットを確保してから、インターネットカフェへ。５時間パックを指定し、うち２、３時間ぐらい仮眠に充てて、残りの時間でネット配信の動画を横目に作業をするつもりでいました。
……リクライニングシートは、私にはあんまり寝心地が良くなかった。
しばらく横になり休養を取る、ぐらいはしましたが、ろくに眠れず、けっきょく『ほん呪』を鑑賞しつつひたすら映画感想を書き、残り時間で作業をする、というかたちに。中途半端に襲いかかる眠気は、無料の飲み物やフローズンドリンクで誤魔化しました。
５時間を過ぎてもまだ余っていた待ち時間はファストフードと映画館の待合室で潰し、ようやく待望の２本目へ。こちらは香港映画界の鬼才ジョニー・トー製作、香港警察機動部隊の姿をユニークな切り口で描いた『タクティカル・ユニット 機動部隊−絆−』(ACCESS-A配給)。
これ、実はジョニー・トー監督の『ＰＴＵ』の、複数製作された後日談のひとつなのだそうです。主にテレビでかかっていたのですが、本国ではこれだけ劇場公開されており、日本ではあいだをすっ飛ばしてＤＶＤリリースとなった。来月の発売に先駆け、特別に上映されていたわけですが……もろに『ＰＴＵ』in山、でした。単体でも問題はありませんが、戸惑う人は多いでしょうし、『ＰＴＵ』がピンと来なかった人はきっと愉しめない。私自身は、いかにもトー組らしい一筋縄でいかない作りに充分痺れさせていただきましたが。
映画自体が面白かったため、観ているあいだ眠気に襲われることはありませんでしたが、さすがに家に帰りついたいま、非常にきつい状態です。これと、ネットカフェにて鑑賞した映像についてのレポートをアップしたら、もう沈没します……見出しを考える余裕はない。
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