『処刑剣 14 BLADES』

処刑剣 14BLADES [DVD]

原題:“錦衣衛 14 Blades” / 監督、原案&プロダクション・デザイン:ダニエル・リー / 脚本:エイブ・クォン、マク・ティンシウ、ラウ・ホーリャン / アクション監督:クー・ヒンチョウ / 製作総指揮:スザンナ・ツァン / 撮影監督:トニー・チャン / 美術監督:チャン・タンリョン / 編集:チャン・カーファイ、タン・マントー / 衣装:デビー・ウォン、ペートラ・クォック、エディ・モク / 音楽:ヘンリー・ライ / 出演:ドニー・イェンヴィッキー・チャオ、ウーズン、チー・ユーウー、ケイト・ツイ、チェン・カンタイ、ウー・マ、チェン・チーフイ、ダミアン・ラウ、ロー・ガーイン、サモ・ハン / 配給:Sony Pcitures / 映像ソフト発売元:SPO Entertainment

2010年中国作品 / 上映時間:1時間53分 / 日本語字幕:?

2011年5月28日日本公開

2011年12月2日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video:amazonBlu-ray Discamazon]

公式サイト : http://shokeiken.com/

DVD Videoにて初見(2012/07/19)



[粗筋]

 明は開国の際、国の権威を守るために、錦衣衛という組織を設立する。孤児たちを戦わせ、生き残った精鋭によって構成された彼らは、時の皇帝の命に従い、冷酷に任務を果たすため、英明な君主のもとでは優れた法務官となるが、しかし愚かな君主のもとでは、最も恐れられる暗殺者に変貌した。

 現在の錦衣衛の長・青龍(ドニー・イェン)は、宦官・賈から、謀反を企む趙を討ち、彼が隠し持つ箱を奪うように命じる。皇帝自らの命令でなければ動かない錦衣衛であるが、賈が割り符を持っていたために、この命令を受諾した。

 趙を襲撃した青龍だが、側近を倒し、奪おうとした箱の中に収まっていたものを確かめて、驚愕する。それは公式文書に効力を与えるために必要な、伝国の国璽であった。動揺する彼の前に、別の襲撃者が現れ、国璽を奪っていった。そして、青龍が率いていた錦衣衛の部下たちも、何者かによって倒されていたのである。

 辛うじて逃れたものの、手傷を負った青龍は、近くの街で見つけた、“正義護送屋”という旗を掲げた店に助けを求める。義を重んじ、借金をしてでも仕事に励んでいた彼らは、だが遂に首が回らなくなり、その日を境に廃業するはずだった。しかし、青龍に大金を示され、廃業を取りやめて仕事を引き受ける。

 かくして、護送屋とともに旅に出た青龍だったが、そんな彼の前にふたたび襲撃者が現れた。錦衣衛最強の実力を遺憾なく発揮した青龍は、今度は見事に襲撃者を倒すが、しかしその背後に潜む者の正体を知って、ふたたび驚愕する――

[感想]

 遅ればせながらドニー・イェン出演作を立て続けに鑑賞している状況だが、本数を観れば観るほどに、近年の彼の安定感に舌を巻く想いがする。

 本篇は、強いて分類するなら、中国の歴史を舞台に武術の達人が活躍する、いわゆる“武侠もの”になるだろう。だが、本篇の味わいはそれ以上に、アメリカの西部劇にも似たものがあるように感じる。国の命で行動していたはずが逐われる立場となり、それを自警団めいた組織が匿い、護送する。中心人物である青龍がかなり特徴的な武器を用いていることもあって、余計に西部劇めいた印象を受けた――こうした様式は決して西部劇に限ったものでないのも確かなのだが、舞台の多くが荒野であるのも一因なのかも知れない。

 舞台や道具立てはどうあれ、ドニー・イェンはいい意味で不変の存在感を示している。時として軽薄であったり、いささか過激な人物に扮することもあるが、本篇は彼の役柄としてはオーソドックスなほうだろう。しかし、そこで過剰に捻ることなく、人物像としては堅実に組み立て、アクションの趣向を凝らして魅せていく。その幅が非常に広いので、出演する作品を観るごとに新しい興奮と驚きがある。

 本篇はあからさまにワイヤーがふんだんに使われた、かなり非現実的なアクションであるが、その表現はいずれも美しい。明らかに美術のほうも、このアクションを華麗に見せるために奉仕している感があるが、徹底しているからこそ目を奪われる。そして、当然ドニー・イェン自身もある程度はワイヤーを用いているはずだが、場面によってはそれをほとんど意識させない。なまじファンタジックな映像を描いているからこそ、却って彼の身体能力の素晴らしさが印象づけられる。それだけで映像の見応えがまるで違うのだ。

 しかもこの作品では、ドニー出演作ではちょっと珍しく、ロマンスの要素が少し盛り込まれている。ほんのひと匙程度だが、しかしこれが本篇の終幕に、芳しい情緒を添えている。本篇が実際に西部劇にインスパイアされているのだとしたら、ドニー演じる青龍はさながら名無しのガンマン、という立ち位置になるが、このロマンスの要素があるが故に、彼の超然とした英雄像がより明瞭になっている。

 ベースとなるアクション、用いる武器が空想的に過ぎ、どこか幼稚な印象を与えるために、たとえばドニーがウィルソン・イップと組んで撮った『導火線 FLASH POINT』のようなハードな作品を欲しているとだいぶぬるく感じられ、ピンと来ない可能性はある。しかし、これもまたドニー・イェンという俳優の能力を活かし、従来とは少し違った見せ方をしてみせた意欲作である。

 残念なのは、せっかくサモ・ハンが登場しているのに、ドニーとの直接対決は盛り込まれていないことだろうか。『SPL/狼よ静かに死ね』、『イップ・マン 葉問』でそれぞれハードな戦いを繰り広げているので、もういちど拳を交える必要は無い、と判断されたのか、或いはサモ・ハンは箔付けのためにカメオ的に出演しただけ、という雰囲気があるので、そこまでの余裕はなかったのかも知れないが、ワイヤーを多用した空想的シチュエーションで戦う、もしくは共闘するふたり、というのも観てみたかった。

関連作品:

ブラック・マスク

KAN-WOO 関羽 三国志英傑伝

HERO 英雄

SPL/狼よ静かに死ね

かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート

イップ・マン 葉問

レッドクリフ Part II―未来への最終決戦―

天使の眼、野獣の街

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コメント

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