狂気の名探偵vs.最悪の殺人鬼。

 現在、映画鑑賞は「この日以外に観る機会がない!」というレベルのものに限っている、ときのう書いたばっかりですが……実はまさに今日のことだったりする。
 なにせ、第35回東京国際映画祭上映作品なのです。
 ……毎回のようにチケット購入システムの使い勝手の悪さに悩まされ、作品もさほど魅力を感じるものがかからなくなって、3年ほどろくにチェックもしてませんでした。しかし今回は久々に、「どうしても観ておきたい」「でも今後、一般公開されるのか解らない」というのがひとつあった。上映は3回のみ、時間帯や曜日も勘案すると、行けるのはどー考えても今日しかなかったのです。
 行き先はヒューマントラストシネマ有楽町。今年は銀座・有楽町・日比谷に限定して展開しています。予報よりどんよりとした空模様、ですが思い切ってバイクにて移動。予報があれだから降りはすまい、と信じて。
 鑑賞したのはジョニー・トーとのタッグで知られるワイ・カーファイの単独監督作品、常軌を逸した直感力ゆえに警察を逐われた男が、多くの犯罪の陰に潜む最悪の殺人鬼と戦う『神探大戦』(日本公開未定)
 タイトルからてっきり、2007年製作、日本では2011年に公開された『MAD探偵 7人の容疑者』の続篇だと思いこんでいたのですが――コンセプト的には続篇と位置づけられていると思われますが、内容は繋がってない。原題の示す“神探”の能力が違うし。
 しかし題材と描き方の異様さはそのまんまに、色々な意味でスケールアップしてます。冒頭から立て続けに描かれる猟奇的な犯行、お前ら市民の安全に気を遣ってんのか、とツッコみたくなる壮絶な銃撃戦。随所で常軌を逸した言動をしながらも真相に迫っていく感を出す《神探》のパワーと、もはや“悪魔”としか言いようのない殺人鬼の凄みが強烈です。
 恐らく、ちゃんと描こうとしたらミニシリーズぐらいになりそうなくらいに展開が詰めこまれているのに、それを101分に押し込んでいるせいで、人物や関係性、そして謎さえも飲み込めないうちに話が進んでいく。テンポがいい、というより早すぎてついていけなくなるひとも多そう。ただ、噛み砕いていくとちゃんと伏線や論理があって意外性もあるし、それを配慮ゼロのアクションと織り交ぜて見せるので、歯応えは豊か。その成り行き、着地がお気に召すかどうか、はたぶん相当好みが分かれる――ていうか、否定よりのひとが多そうなアクなんですが、私は非常に楽しかった。
 現時点では日本での配給は決まっていない模様。マニアックなので大規模にはかけられないかも知れませんが、せめてミニシアターでは回してくれんかなー。

 鑑賞後の昼食は、だいぶ悩んだ挙句、久々にふぐだし潮 八代目けいすけを訪れました。四代目の味が絶えたことと、特に告知もなく六代目を閉めてしまったことで、グループ自体に不信感を抱くようになってしまって、なんとなく足が遠のいていたのですが、このところ大つけ麺博で色々なお店に挑んでいるうちに、気が向いたのです……そういやここは単独でレポートを上げたことがなかったので、後日ちょっと触れたいと思います……作業が一段落した頃合いになるかな。

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