原題:“Rest Stop : Don’t Look Back” / 監督:ショーン・パパツィアン / 脚本:ジョン・シャイバン / 製作:ジョン・シャイバン、スティーヴ・エクレサイン、トニー・クランツ、ダニエル・マイリック / 撮影監督:ジャス・シェルトン / プロダクション・デザイナー:フランク・ボリンジャー / 編集:リチャード・バイアード / キャスティング:ロビン・ナッシフ,,C.S.A.、パトリック・ベイカ,C.S.A. / 音楽:ベアー・マックレアリー / 出演:リチャード・ティルマン、ジェシー・ウォード、グレアム・ノリス、ジョーイ・メンディシーノ、ジュリー・モンド、ブライオニー・デイヴィス、ダイアン・ルイーズ・サリンジャー、マイケル・チルダース、ゲイリー・アンティン、エドマンド・アンティン、マイキー・ポスト、スティーヴ・レイルズバック / 映像ソフト発売元:Warner Home Video
2008年アメリカ作品 / 上映時間:1時間28分 / 日本語字幕:?
日本劇場未公開
2008年11月5日映像ソフト日本盤発売/2010年04月21日最新盤発売 [DVD Video:amazon|Blu-ray Disc:amazon]
[粗筋]
ジェシー(ジョーイ・メンディシーノ)とニコール(ジュリー・モンド)が失踪してから1年が経過した。どちらの家族も、ふたりは死んだものと諦めていたが、ただひとり、ジェシーの兄トム(リチャード・ティルマン)だけは未だに弟の生存を信じていた。戦地からアメリカに帰還したトムは、僅かな休暇を弟捜しに費やすことに決める。
トムとジェシー共通の友人であるジャレド(グレアム・ノリス)と、1年振りに再会した恋人のマリリン(ジェシー・ウォード)もこの旅に同行した。真面目な旅とはいえ、出来ればトムと水入らずで出かけたかったマリリンとしては、終始空気の読めない行動を繰り返すジャレドが邪魔で仕方ない。
ジャレドの車がガス欠になったところで、3人は1軒の寂れたガソリンスタンドに立ち寄った。何かジェシーたちについて知らないか、とトムが店主(スティーヴ・レイルズバック)に訊ねたとき、ジャレドが店の棚にあるものを発見する。それは、ニコールが大事に持っていた、お手製のメダルだった。
不気味なことを仄めかしながらも、ジェシーたちの行方については知らぬ存ぜぬを貫く店主に業を煮やし、トムたちは先を目指す。この先しばらく休むところがない、ということを考慮して、トムは道中に発見した看板を頼りに、休憩所に向かった。
確かに、そこにジェシーとニコールはいた。だが、そこで彼らがどんな目に遭っていたのか――間もなくトムたちは思い知ることとなる……
[感想]
細部に光るものはあれど、あまりに謎を残しすぎて歪な代物となってしまった『レストストップ デッドアヘッド』の続篇であり、完結篇である。
少なくとも、前作の疑問を解消している、という意味では遥かに親しみやすい。承知の上で続けて観なければならない、というのが観る側にとっても売り手にとっても障害となっている点が失策ではあるが、前作の趣向の面白さがずっと伝わりやすくなっていることは評価したい。
詳しくは記さないが、本篇の世界観の出所となっている発想そのものは本当にユニークで面白いのだ。どこから始まっているのか、どこで終わるのか解らない、その救いのない空気は出色だし、唯一無二と言っていい。しかも前作ではいまいち説明しきれなかった、土台となるルールにも触れることが出来ているので、きっちり話がまとまっている。製作者が予め着地点を定めて前作を撮ったのか、それとも批判を受けて工夫を凝らしたのか或いは妥協したのかは不明だが、この構想まで含め、短期間でまとめてリリースした方が良かったのではなかろうか、と惜しまれる。
前作は終始、ニコールの視点のみで描かれていたが、今回はトムを中心としつつ、マリリンやジャレドの目撃する出来事も多く絡めることで、物語の起伏も大きくなっている。堅物で、多少は状況分析の力があり、危機回避能力も優れているトムだけであったら、たぶんだいぶ地味な話になっていただろうが、基本的に脳天気なジャレドの視点を挟むことで、程良いユーモアが加えられている。ホラーに笑いなど要らない、と思うのは安易な考えで、弛緩するポイントを設けないと、観ている側も疲れてしまうし、本当にインパクトのある場面で、その効果を削いでしまうことがある。ジャレドの扱いには、製作者がそのあたりの呼吸をわきまえていることを窺わせる。
残念なのは、ゴア描写が前作よりも乏しく、パワー不足になったことだが、その分クライマックスはくっきりと際立っており、盛り上がりがある。そして、ホラー映画ならではの終幕もなかなか味わい深い。
結果的に前後篇となった構成が却って足を引っ張ってしまったこと、細部は光っているが不明瞭な点も多く雑然としていることなど、欠点が多いのも事実なので、やはり積極的にお薦めは出来ないが、2作続けて鑑賞すること、かなーり奇妙な世界観を愉しむ地震がある、というのなら、いちど手に取ってみるのもいいかも知れない――お気に召すかどうかは保証しかねるが。
関連作品:
『地球が静止する日』
『ロード・キラー』
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