駄目人間気分なハシゴ。

 今週末は話題のアレが封切りです。が、私が今日選んだ本命は別のものでした。何故なら、1週間限定のレイトショー公開のものがあったから。そちらのスケジュールに合わせて、もう1個をハシゴすることに。これでうまく都合がつけば、話題作の方も押さえるつもりでしたが、食事の都合も考えると問題のある時間割になってしまったので、別の作品を選択。食事に向かう店も予め調べたうえ、満を持して電車にてお出かけ――なにせ自転車だと、確実に午前様になってしまいますし、明日もハードスケジュールなので、今日はちょっと体力の消耗を抑えめに。

 向かったのは渋谷。早めに現地入りし、まずはチケットを押さえて、ちょこっと本屋を覗けたら――と軽く考えてましたが、甘かった。土曜日×祝日の渋谷をなめてました。あまりの人混みに、いつものようにスムーズな移動は出来ず、鑑賞作品2本のチケットを購入していたら、ほとんど時間ぴったりでした。

 メインはレイトショーなので、まずはついでの1本。シネマライズにて鑑賞したのは、『トレインスポッティング』のアーヴィン・ウェルシュの小説をジェームズ・マカヴォイ主演にて映画化した、史上稀に見る悪徳刑事の姿をユーモラスに、しかし哀感を籠めて描いたフィルス』(UPLINK×PARCO配給)

 なるほど、確かに『トレインスポッティング』風味の刑事物。主人公のクズっぷりにひたすら笑わされますが、しかしそこにときどき垣間見える人間的な部分が実に哀しい。けれどそこで自己憐憫に陥りすぎないから、終幕は哀れながらも不思議な爽快感がある。唯一無二の面白さが光る好篇だと思います。まさに“ヤバいね!”な1本。

 鑑賞後、調べてあった店を探して道玄坂界隈を彷徨う……が、どうやら早い時間に営業を終えていたようで、住所の場所にのれんは掛かっていませんでした。やむなく、探し歩く途中に見つけた店で食べましたが、そちらもなかなかだったので不満はない。

 そしてこちらが本日のメインディッシュ。調べたら、この劇場には何と5年振りの訪問だったというユーロスペースにて鑑賞したのは、怪奇ドキュメンタリーの“金字塔”と言われるビデオシリーズの最新作にして10年振りの劇場公開『ほんとにあった!呪いのビデオ55』(NSW配給)。シリーズを根気よく追い続けてきた私としては、そしてフォローし始めたのが遅かったため劇場で接したことがなかった私としては落とせませんでした。

 さすがにわざわざ劇場でかけただけのことはある。ものすごい大ネタでした。1個1個の怪奇映像それぞれもなかなかのクオリティながら、不意に投稿映像どうしが結びついていく異様な感覚、そしてトドメにあの映像を持ってくる周到さ。シリーズが培ってきた演出スタイルの頂点に位置する仕上がりと言っていいと思います。映像ソフト版も月明けには発売されますが、もし機会があるなら映画館で観てみるのも一興でしょう。……ただ、今回これを観ると、制作会社の所在地が完璧に解ってしまうつくりになっているのはどうなんだろう。私は土地鑑があるのですぐにピンと来てしまいましたが、なくてもあそこまで明確に映ってたらすぐに探り当てるぞ。

 ……それにしても、この2本、出来自体には満足なんですが、なんだか自分がすごーく駄目なひとになった気分になります。いや実際そうなんでしょうけど。

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