新耳袋トークライブ70

 昨日の続き。

 毎年最後は粒揃いの怪談が聴ける、という評判が立っているようで、いつも以上の熱気のなかイベント開始。

 まずは主役である木原浩勝氏が登壇、しばらく前から始まった、某アニメ演出家によるオープニング・ムービーの今年使用分総浚えをしたあと、ひとりでは寂しい、ということで聞き手兼必要に応じてのツッコミ役として特に名を秘す某氏に加え、すっかりレギュラー化した新耳Gメンこと映画秘宝の面々が登場。……なのですが、通常新耳Gメンの中心人物として必ず登壇していたギンティ小林氏の姿がない。何でも今回お披露目した映像収録のあとから新型インフルエンザの餌食になり、現在も病臥しているとのこと。無事に加わった田野辺キャップも、実はつい1日前まで肺炎の治療をしていたとか。あからさまに危うい雰囲気の中、最新の“突撃”映像を披露。

 ……しかし、今回の企画内容については、さすがに首を傾げざるを得なかった。今回はとあるアイテムを利用したドッキリ込みの肝試し、という趣向なのですが、どこに連れて行かれたのか、何をされるのか知らない人間を捕まえて、あそこまでさせるのはさすがに酷い。犠牲者はかなり変わった人物なので、正直観ていてそれなりに笑えはしましたが、でもこの面々は本来、自らいわゆる心霊スポットに赴き、危険な挑発行為をして怪奇現象を体験する、映像を収めるのを目的としていたはず。さすがに今回のは単なる厭がらせにしかなっていません。

 今のところ、その犠牲者はギンティ小林氏に頻繁に妙な電話をかけてくるぐらいしか変化が生じておらず、でもあれだけの挑発行為を犯したのだから、近々何かあるかも……と田野辺キャップは締めくくってましたが、たぶん“敵”もそこまで馬鹿ではない。もし何かあるんだとしたら、ギンティ氏のインフルエンザや田野辺キャップの肺炎が障りそのものだと思います。

 木原氏が認めているからといって、ちょっと最近脱線が激しすぎるように思います。そろそろ軌道修正しないと、祟り云々とは別のところで障りが出るはずですので、いい加減自重すべきではないでしょうか。

 他のお客はそこまで苛立っていなかったとしても、犠牲者のエキセントリックな人柄にあてられて会場は少々妙な空気に。それを払拭すべく、休憩を挟んだあとで、年末特別企画として、声優・俳優の茶風林氏による、木原氏執筆の怪談の朗読劇へ。今年の夏に開催された朗読劇にて、茶風林氏のために木原氏が書き下ろしたものの、演出の都合などから他の方が読んだ作品を、トークライブのために特別に生で朗読していただく、という、考えてみるとけっこう贅沢な企画です。話の中身自体は既にトークライブで披露し、文章化もされたものなので、観客にとっては既知のネタなのですが、朗読劇用に視点人物や設定にアレンジが施されているうえ、ライブではよくあるつっこみや相槌がないので、さすがに雰囲気が変わります。そしてさすがは本職、見事に会場を怪談色に染めあげたところで、木原氏にバトンタッチして退場。

 ここから木原氏と聞き手役の某氏ふたりだけになり、新しく取材した怪談のお披露目へ。年末と言い条、木原氏にとっては来年の新刊の仕込みを始める時期なので、やはり結構良質のネタが多い。実はこの時点で終盤のネタ振りをする余裕さえありました。

 だいぶ長々と語ったあと、4時30分ぐらいに2度目の休憩を挟んで、いよいよ最終コーナーへ。ここで、近ごろ新耳袋トークライブからすっかり華が失われていることを心配した木原氏の配慮で、こちらも名前を出すことの出来ないスペシャル・ゲストが登場。どのくらいスペシャルだったかというと、このところ風邪気味だったせいもあって、4時過ぎあたりから眠気に抗えなくなりつつあった私のテンションが一瞬で上がって、結果的に最後まで保ったくらいスペシャルでした。きっと他の人と私の反応したポイントは違っているでしょうけれど。当然ながらその方の話の詳細も伏せますが、彩りとして上がってもらったとは思えないくらい充実したひと幕でした。ああ、特定の誰かに語りてぇ。

 彩りの某氏に下がっていただいたあと、いよいよ木原氏のとっておきの新作披露へ。これは本当に、ここまで伏せてあっただけあって、実にハイレベルな話でした。しかし、奇妙なエピソードの齎す異様な余韻に聴取が浸っていたところで、ツッコミ役の某氏が妙な感想からとんでもない内幕を話しはじめたことで、ある意味台無しに。気持ちは解る、という話ではありましたが、今年最後としては実に変な締め括りとなってしまいました。

 とはいえ、前回のあからさまに誤魔化しの多かった内容と較べれば、格段に実の詰まったイベントだったので、大満足。

 なお日中は、徹夜イベント翌日の例に漏れず、ひたすら怠惰に過ごしました。何かしようとしても脳味噌が活動拒否するのよね、すぐに。

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