怪談のふるさと松江１周年『吉田の晴れときどき怪談』atTOHOシネマズ日本橋。

　毎週日曜日は夕方から用事があり、下手に予定を入れるとタイトになってしまうので、基本的には日中は自宅蟄居しております。

　が、今日はイベントの方が来てしまった。昨年から島根県松江市が“怪談のふるさと”と銘打ってキャンペーンを張っており、同時期より松江観光大使を任命された怪異蒐集家の木原浩勝氏が様々なイベントに参加されてます。本日は“怪談のふるさと”１周年を記念し、同じく松江観光大使を務めるFROGMAN氏が木原氏と共に現地で取材を敢行、採集し木原氏によってまとめられた怪談を、FROGMAN氏がアニメ化したものを上映する特別企画が催されたのです。この前の新耳袋トークライブにて、木原氏が“必ず来るひと限定”で整理券を配布されていました。日曜日開催がちょっと気懸かりだったものの、昼寝を我慢すれば何とかなる、と思い、整理券を頂戴してきたわけです。作業が進むまでは映画は控えようか、と書いたあとですが、必ず参加する、という約束で頂いたチケットを無駄にするわけにはいかない。

　場所はもう私にとってはお馴染みのTOHOシネマズ日本橋です。エスカレーターを上がってすぐに、イベントに合わせて出張してきた“松江の超屋台村”が展開していました。小泉八雲や彼の語った怪談、それに鷹の爪をモチーフとした特産品や、当然ながら鷹の爪オリジナルグッズを販売している。今日はここで1000円以上購入すれば、FROGMAN氏と木原浩勝氏おふたりのサインがもらえる、という情報を予め仕入れていたので、まずはふたつほど購入……もっと色々と気になるものがありましたが、食い物ばっかり買うのもアレなので。

　開場時刻になり、整理券を座席指定券に交換していよいよ入場です。……１列目のほぼど真ん中でした。新耳ライブで頂戴した整理券の番号がちょっと若めだなー、とは思ってましたが、まさかこんな最前列に配置されるほどとは思わなんだ。出演者の足下に看板が置いてあったのですが、そこに注がれたライトに私の頭の影が常時映り込む、そんな凄まじい場所でした……。

　ともあれ、イベント開始。司会のお笑い芸人・出雲阿国氏の呼び込みで、FROGMAN氏、木原浩勝氏、それに松江の吉田くんが入場。諸般事情により吉田くんは早々に退出して、まずはFROGMAN氏と木原氏が“怪談のふるさと松江”と銘打った経緯や、今回の企画の概要について説明。

　続いて、小泉八雲の曾孫にあたり、現在松江に暮らす小泉凡氏が、小泉八雲と松江市との関わりについてインタビューに答えた映像が上映され、続いて今回の主役お二人が、この企画のために松江市で行った取材の模様を上映。ちょっと観光案内風になってましたが、しかし途中で出雲氏が語る現地出身者ならではの話もあって、この企画らしい松江の紹介になってました。

　そしていよいよ怪談パートです。アニメの前に、今回の取材で採集した怪談の一部を、FROGMAN氏が朗読の形で紹介。実はここで語った３つの話、ぜんぶ私は新耳ライブで聴いた覚えがある（２本目は違うかも知んない）んですが、FROGMAN氏の良い声で聴くとまた趣が違う。そしてここでも出雲氏が急に内容を補強する話を思い出して、木原氏から「どーして裏でその話をしないんだ！」と怒られるひと幕もあったり。

　続いて、今度はアニメ化作品の上映です。もしかしたら鷹の爪団が代わりに語る、みたいな作り方してないかしら、とちょっとだけ危惧していたんですが、もともと怪談が好きだったというFROGMAN氏、ちゃんと語りの要素を温存したまま、氏らしいアニメに処理していて興味深い。白眉は最初に上映された“イケコ”というエピソードでしょう。この話、“イケコ”という名前のイントネーションもポイントになってるんですが、体験者の特徴的な言い回しがそのまま活かせるのは、語りを残しながら絵物語的に綴ることが出来る氏の作風ならではだと思います。ここでも採り上げたのは３話でしたが、どうしても氏が作りたかった、という、取材中に遭遇した怪異を作品化した特別篇も併せて上映されました。これもちょっと凄い話です。

　今回上映された作品が今後どのような形で公表されるのかは解りませんが、木原氏は手応えを感じていたようですし、FROGMAN氏もかなり乗り気だったようですので、今後もこのシリーズ、続くかも知れません。

　最後に改めて“怪談のふるさと松江”としての企画やイベントを紹介、その流れで何故か“タニタ食堂”で知名度を上げたタニタの社長まで登場されました。丸の内タニタ食堂にてコラボメニューが扱われるそうなので……本当に色々やってるなー松江市。

　イベント終了後は、ロビーにてFROGMAN氏と木原氏のサイン会。もっと手間取るかと思いきや、けっこう早々と頂戴することが出来たので、あとのことも考えて早々に退出しました。

　で、本日の戦利品がこちら。もう10年以上新耳ライブに参加して、御著書にはさんざん木原氏にサインを頂戴してきましたが、色紙にサインをしていただいたのは初めてです。それがFROGMAN氏との共同、というのもなんか面白い。

　横に見えるのは、松江市のオリジナルスイーツ、“ほういち耳まんぢう”……なかなかにエグい発想ですが、盛んにお薦めされて気になったので買ってみました。食べてみると確かに美味しい。甘すぎず、変にベタベタした感じもなく、お茶菓子として程よい口触り。いちおう耳っぽく作ってありますが、そんなにどぎつくリアルではないので、安心していただけます。これに、ギターを持ったレオナルド博士のキーホルダーを足して購入した次第。

　都合２時間ほどのイベント、いつもは寝ている時間帯でしたが、退屈することも眠気を覚えることもなく楽しませていただきました……その分、夕方以降はしんどかったですけど。そしてこれを書き上げるのに手こずって、もはや限界間近です。