年に1度のお祭りが終了して若干虚脱状態です――が、終わったお陰で、却って出来不出来とか気にせずに、まずは観ておきたいものを観てこよう、という気分に変わりました。公開前からこれは、と思っていたけれど、封切り直後はタイミングが悪く、そしてその後は賞レースにも絡まず批評的にも微妙、という印象だったために先送りにしていた作品を観に、夕方から日比谷へお出かけ。にわか雨の恐れあり、という予報だったので、念のために電車にて移動です。
ひと月半ぶりのTOHOシネマズシャンテにて鑑賞したのは、1960年代にアメリカで人気を博した画家の一大スキャンダルを、ティム・バートン監督が映画化した『ビッグ・アイズ』(GAGA配給)。
色々な意見が出ていて判断しづらかったんですが、確かにこれはちょっと微妙。特異なスキャンダルを扱っているんですが、作品を奪われたヒロインの視点から綴ると、骨格としてはありがちな女性の悲劇に集約されてしまう。ヒロインの実際の人柄や時代背景を考慮して、そういう切り口に絞ったことは描写からも解るんですが、その誠実さが従来のティム・バートンの癖を意識させないので、どうも物足りなく感じてしまう。しかし、決して特殊なモチーフを用いていないのに絵画的センスに富んだ映像や、クリストフ・ヴァルツの演技スタイルを活かし悲劇をどこかユーモアに彩って描き出す柔らかな語り口など、バートンらしさもちゃんと閃いてますし、観ていて心地好いのです。だから、私は楽しんだんですけど、どうにも薦めづらい内容ではある。
ちなみに、シャンテの近くにあるTOHOシネマズ有楽座は、入っているニュートーキョービルの閉業により、今週金曜日で閉館となります。当初、『ビッグ・アイズ』はそちらでかかっていて、てっきりクロージング作品になるだろう、と踏んでいて先送りにしていた面もあったんですが、成績が振るわなかったのかシャンテに移動し、代わりに『6才のボクが、大人になるまで。』が入りました。大好きな作品ですが、観たいものを追い切れていない現状で、もう1回観ていいものか、未だに迷ってます。そんなわけで、帰りにちょこっとだけ建物の様子を見に行ってしまいました。ショーウィンドウにビル閉業までのカウントダウンが点灯しているくらいで、映画館の様子自体は下からは解らなかったんですけどね。
コメント
[…] 英題:“Big Eyes” / 監督:ティム・バートン / 脚本:スコット・アレクサンダー、ラリー・カラゼウスキー / […]