第三回新・午前十時の映画祭、無事にコンプリート。

 2015年度の新・午前十時の映画祭も、今コマをもって終了です。今回も、プログラムが切り替わった直後の月曜日のチケットを、購入可能になり次第すぐに押さえました――あとで予報が雨だったことに気づいてちょっと後悔しましたが。まあ取っちゃったものは仕方ないので、しとしとと雨の降るなか、電車にてTOHOシネマズ日本橋へ。

 第三回新・午前十時の映画祭、Bグループのトリを飾る作品は、小津安二郎監督1953年の作品、独立した子供たちを訪ねて東京を訪れた老夫婦の姿を軸に、家族の関係性の変化を静かに綴った名作東京物語』(松竹初公開時配給)

 プログラム構成に従って鑑賞したため、あとで発表された『秋刀魚の味』のほうを先に観たわけですが、こうしてみると、設定は違っていても地続きになった世界のように見えます。同じロケーションではほぼ固定され、台詞を話す人物に集中したカメラワークが醸し出す独特の落ち着きと緊張感。同じアングルを繰り返すことで表現される喪失感が醸し出す深い余韻。空気の和やかさとユーモアの噛み合い方が絶妙であるからこそラストシーンの余韻が深い『秋刀魚の味』のほうを個人的には高く買いますが、現代にも繋がる家族関係の変化を抉りだした本篇もまた紛う方なき傑作。物語の善意も悪意もひとりで象徴してしまっている杉村春子と、唯一の良心として登場しているが故に最後の述懐が際立つ原節子の存在も印象深い。

 といったわけで、無事に今年度の新・午前十時の映画祭もコンプリートすることが出来ました。既にエントリーシートはだいたい準備してあったので、帰宅後に本日分のチケットを貼れば完成です。投函するのを忘れたりしなければ、今回も“金の殿堂”に名前を載せてもらえるはず……名前が載るのと認定証以外に特にメリットないんですが、まあそこはそれ。

 日本橋で映画を観たあとは、神保町付近まで足を伸ばして昼食を摂るのが通常の流れですが、雨ではそうもいかない。電車で自宅最寄り駅までまっすぐ戻り、近所のラーメン屋で食事を済ませました。

 4月からは“午前十時の映画祭7”が始まります。さすがにそろそろ、昔観た作品との重複が激しくなってきて、29本中11本鑑賞してたりしますが、繰り返し鑑賞するのもあんまり抵抗はないので、2016年度もコンプリートを目指します。『ドクトル・ジバゴ』なんて、是非ともこれで再鑑賞したい1本だったので、今から上映される7月が楽しみだ。

 ……どーでもいいですが、7回目になってとうとう、初公開時に鑑賞して感想もアップ済、という作品が入ってきてしまいました。公開時点で古典のような趣もあった『戦場のピアニスト』ですから、まあここに加わるのもそれほど違和感はないんですけど、個人的に「思えば遠くへ来たもんだ」感が強い。これがラインナップに加わるようになった、ってことは、もう来年には『メメント』あたりが入ってきてもおかしくない、っていうことなのよね……。

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