どういうわけか、2016年は渋谷とほとんど縁がありませんでした。多くのミニシアターが撤退して訪れる理由が激減したのに加え、各種イベントもチケットが確保出来なかったり気づいたら終わってたり、という調子で、調べたら11月にしか来てない。しかもそのときも食事だけするつもりだったのに、日曜日でお目当てが全部定休だったため結局池袋まで移動して食事を摂る、というていたらくでした。
しかし今日ははっきりと足を向ける理由が複数ある。どうせ出かけるなら、と覚悟を決めて、朝から自転車を漕ぎ、1時間以上費やして渋谷に到着……新しい自転車は漕ぎやすいとは言い条、それでもこの山あり谷ありの道程はやっぱりしんどい。いい運動にはなりますけど。
映画がお昼近い時間なので、先に別の用事を済ませ、少し早めに蕎麦屋に赴いて昼食……早すぎて、実はまだ暖簾も出しておらず、従業員の皆さんが賄いで食事をしているところだったのですが、ご厚意で座って待たせてもらいました。ここも1年2ヶ月ぶりですが、何も変わってなくて安心。
続いては映画鑑賞です。訪れたのはヒューマントラストシネマ渋谷……ここなんかも、調べてみたら2年3ヶ月ぶりでした。私の足が遠のいているあいだも毎年この時期には“未体験ゾーンの映画たち”と称した、本来なら映像ソフト直行になってしまうはずだったマイナーな傑作やカルト作品、B級作品などを期間限定でまとめて上映する企画を続けているのです。例年、観たい作品はチェックしているのですが、作品ごとの上映時間が極端に限られているため、どうしてもタイミングが合わずに断念する、ということが相次いでいました。今日はわりとスケジュールの調整がつけやすかったので、朝方にネット経由でチケットを確保、食事もきっちりと済ませて劇場入りしました。
鑑賞したのは、大好きな兄が殺人鬼だと知ってしまった少年のモノローグを軸に描く異色のグロテスク・ホラー『FOUND ファウンド』(AMGエンタテインメント配給)。シチュエーションに心惹かれてチェックしてあった作品でした。
正直なところ、これを“怖い”と感じられる人は多数派ではないような気がします。グロテスクなシーンはありますが多くはないし、直接描写は全体のごく一部に過ぎない。ただ、“兄が殺人鬼である”という事実に心を揺り動かされ変化していく少年の心境、そして彼自身の想像も含め、直接的でない描写から浮かび上がる狂気がジリジリと寒気を誘います。そして、本質的には平凡な家族であり、ある意味では愛し合っていたはずの人々が辿る結末には、慄然とすると共に奇妙な物悲しさがある。ホラー映画のモチーフを利用した文芸作品、という見方も出来るかも――というか、とにかくシンプルなホラーとして観ても、B級を期待して観ても肩透かしの印象を受ける可能性はありますが、そこに収まらない奇妙な魅力をたたえた作品です。私はけっこう好き。
鑑賞後は寄り道しつつゆったりと帰宅……しましたが、それでも久々の長距離移動はかなり身体に堪えました。昼寝するタイミングも逃し、いまや疲れがピークに達しつつあるので、今夜は早めに寝ます……バナナマンのラジオも録音で聴こうかしら……。
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