TOHOシネマズ日比谷グランドオープン記念3本立て。

 一昨日、プレオープンの段階で既にいちど足を踏み入れてはいますが、観たのはIMAXスクリーンだけ。正式な開業日である今日は、貯まっているシネマイレージを駆使してフリーパスを発行し、出来るだけあちこち見てやろう、と意気込んでお出かけしました。

 交通手段は自転車です。体力的にどうやら恢復してきているのと、予め調べたところ、ちゃんと駐輪場が用意されているようなので、そちらの使い勝手も確認したかったのです。残念なのは、2階のテラスに繋がる階段などがある建物の地下に位置していて、映画館を含む東京ミッドタウン日比谷と直結している部分がないようで、駐めたあとは階段で1階に上がり、外に出ないと辿り着けない点です……しかしまあ、駐輪場があるだけまし。10時間駐めても100円しかかからないので、今日のように長々とハシゴするつもりで訪れたなら、間違いなく電車よりもバイクよりも私には好都合なのです。

 初日故、混んでいるといえば混んでいますが、東京ミッドタウン日比谷全体で人の流れをうまく整理しているので、思ったほど混乱はしていない。映画館のロビーも、日本橋や上野のオープン時は限定サーヴィスの兼ね合いもあってひどい混雑を起こしてましたが、今回はロビー自体が非常に広いのに加え、もっとも混雑する限定シネマイレージカードの手続のカウンターを分けていたようで、フリーパスの発行もスムーズに済みました。チケットも併せて発券してもらうと、最初に観る作品の上映開始までのあいだに昼食を済ませるべくいったん離脱。

 近場のラーメン店でバタバタと食事を済ませたあと、いよいよ映画です。TOHOシネマズ日比谷正式オープン後最初の1本に選んだのは、ジャウム・コレット・セラ監督とリーアム・ニーソンが4度目のタッグを組んだ作品。列車で帰宅するさなかに、家族を人質に取られ、見知らぬ乗客を探すことを強要された男の戦いを描いたサスペンストレイン・ミッション』(GAGA配給)

 このコンビの作品は安定して面白い。けっこう強引なシチュエーションのようでありながら、ちゃんと筋を通してますし、最後まで緊張が途切れない――と言いつつ、コメディリリーフも用意して、細かに緩和する場面も挿入する手管が憎い。エピローグ部分がちょっと安易かな、と思わなくもありませんが、面白いのは間違いない。

 いったんロビーに戻り、ドリンクを買い直したりしてから、先ほどの隣のスクリーンに移って鑑賞した2本目は、本年度アカデミー賞長編アニメーション部門&主題歌部門賞受賞、メキシコの“死者の日”をモチーフに、死後の世界に触れてしまった少年の冒険を描くリメンバー・ミー(吹替)』(Walt Disney Japan配給)

 こちらもまた期待に違わぬ傑作。ハリウッド映画でもときどきモチーフに用いられる“死者の日”をコミカルに親しみやすく描きつつ、そこに大人でも感情移入してしまうようなドラマを見事に構築している。背景なんかは多少フィクションにすれた人間なら予想は可能ですが、盛り上げ方としてはほぼ理想と言っていいでしょう。そして何より、映像のクオリティの高いこと! キャラクターの肌の質感なんか、まるでパペットを使ってストップモーションアニメーションをやったのか、というぐらいリアルですし、ミゲルや劇中に登場するミュージシャン達の指捌きの美しさといったら。改めて、ピクサーの底力を見せつけられたような気分でした。併映の『アナと雪の女王』短篇は……まあ、オマケといった感じ。テーマ的に『リメンバー・ミー』とリンクしているので、浮いてはいない。

 最後となる3本目は、ミッドタウンではなく、隣接する東京宝塚ビルの地下にあるスクリーン12での上映です――要は、かつてのTOHOシネマズスカラ座だ。

 ただ、正直に言って、この12の状態はちょっと残念でした。ロビー部分はミッドタウン側と合わせた内装に変えているのですが、いざ場内に入ってみたら、中は前のまんまでした……同時に入ってきたご夫婦が「新しいからチカチカしてる」とか仰言ってましたが、すみません、私の記憶する限り、前のまんまです。そしてもうひとつ、動線を変更したことにより、従業員のみが使用しているはずのスクリーン脇のドアが、本篇開始後までしばらく、細く開いていた――そりゃ初日でいささかバタついているのも確かでしょうが、光が入ると鑑賞の妨げになるのは従業員がいちばんよく解ってるんですから、ドアくらいチェックしましょう。まして従業員専用に変わってるんですから。

 鑑賞したのは、スティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ主演、トム・ハンクス共演という強力布陣で、ベトナム戦争にまつわる機密文書を巡って起きた出来事を映画化したペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(東宝東和配給)

 こちらも傑作。ベトナム戦争を背景にしながら、戦闘描写は冒頭だけ、あとは新聞社の経営者と記者、そして政府との駆け引きだけでサスペンスを展開していく。暴露記事を掲載するか否か、というとてもシンプルながら難しい選択肢との対峙にたっぷりと時間を割いて、見事に映画的なクライマックスに昇華してます。基本的には普通の主婦、しかしクセ者の編集主幹が一目置く決断力を秘めた主人公を、メリル・ストリープが堂々と演じきってます。いい加減何度目だよ、という気もしましたが、やっぱり主演女優賞ノミネートは当然。

 内部は前のまんま、とは言い条、もともとスカラ座はスクリーンのコンディションは悪くない。恐らく18年前にリニューアルしたのが最後のはずの座席も、当時としては前後に余裕があるので、ストレスも少なめです。気になるのは、スクリーンとの距離感もスクリーンのコンディションも、あまりいいとは言えなかった旧みゆき座を流用したスクリーン13の中がどうなっているか、ですが……まあ、新設したスクリーンの方はほぼ文句なしの作りで、今後も頻繁に利用することになりそうですし、その流れでスクリーン13もいずれは確認することにしましょう。

 腹を括って出かけたものの、普段仮眠を取っている時間も映画鑑賞に充てたため、もはや油断すると瞼が閉じてしまいそうな有様です……明日も用事があるので、そろそろ観念して休みます。今日はもう無理〜……。

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