なにせ今日は、発売直後くらいにチケットを押さえてしまっていたのです。2016年は公開前から注目していたのに、その想像を上回る出足の良さで鑑賞するのが遅くなってしまったため、早く観ておきたかった。金曜日は午後から用事があるため普通は無理ですが、今回は全国の多くの劇場で9時開映となっており、うまくスケジュールを組めば何とかなる。アニメを観るなら基本はここ、と決めているTOHOシネマズ上野にて、さっさと確保してしまったのです。ですから、昨日の出来事で気分がふさいでいるから、と言ってやめるのも惜しい。なによりせっかくの作品を愉しまない方が、失礼にも思えるし。
そのまんま午後の用足しに向かうため、多めの荷物を背負ってお出かけ……通勤時間と思いっきりぶつかっているので、電車から抜け出すのに往生しました。
鑑賞したのはお察しの通り、『君の名は。』の記録的大ヒットから3年を経て発表された待望の新海誠監督最新作、長雨続きの東京で家出少年が出会った、祈れば日が射す力を持った少女との冒険を描いた『天気の子』(東宝配給)。
……どこから語ったらいいやら。しかし、『君の名は。』という名誉でもありそれ故に巨大すぎるプレッシャーから決して目を背けていない、ということは間違いなく評価されていい、と思う。怖れずに『君の名は。』を意識して、現実世界をベースにロマンと冒険、ところどころ際どいネタを入れたボーイ・ミーツ・ガールとして仕上げ、なおかつ『君の名は。』とは異なる、それでいてカタルシスのある結末を盛り込んだ。監督が語るとおり賛否両論に分かれかねない結末ですが、ある意味で現実に対峙した大人の意志と、ジュヴナイルらしいロマンの共存した、いい結論だと思う。相変わらず驚異的な絵のクオリティと、前作よりも控えめに、でも相変わらずツボを押さえたRADWIMPSの音楽の使い方もあって、間違いなく満足度は高い。話題を席巻したあとの作品としては理想解だと思う。個人的には、『君の名は。』のように、設定に関わる矛盾がないぶん、より高く評価します。
……と、内容的には大満足だったんですが、エピローグ部分である人物が口走ったひと言が、あまりにもタイムリーに響きすぎてたいへん複雑な気分になってます。たまたま時期が合ってしまっただけですし、ぜんぜん状況は違うのですが……。
劇場を出てみると、外は久々の晴れ間。この場合はもう少し雨が降っていても良かった気はしますが、これはこれで趣はある……などと思いつつも、やっぱり複雑な気分で、近場で食事をしたあとで用事に赴いたのでした。
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