秘密を訪ねて、宇宙の彼方へ。

 午前中は予定が狂いっぱなしでした。すべては、タブレットのアップデートが失敗したせいです。さすがに個人では如何ともし難い状態だったので、修理の手配をしなければならなかったのですが、そのために随分と無駄足を踏まされました……。

 やろうと思っていたことがほとんど出来ないままお昼になり、仮眠もあまり取れなかった。短めに眠ってから映画を観に出かけるつもりでしたが、精神的に疲れていたので、やめようかとも思ったのです。しかし、予定を完全に崩されるのも癪で、けっきょく腰を上げることに。

 ただし、それでも本当に観られるかどうかは時の運に委ねざるを得ない。

 行き先はTOHOシネマズ日比谷。陽気もいいのでバイクで出かけましたが、最安値の駐輪場は当然のように埋まりやすい。換言するとほかの駐輪場はだいたい駐めやすいのですが、そのぶんお高くなるし、空きを捜しているうちに時間はなくなる。安い駐輪場が空いていないなら、諦めて引き返すつもりでした。幸い、1台だけ空きがあったので、最初の関門はクリア。

 だが関門はまだある。現在、TOHOシネマズのフリーパスを持っていますが、先日も記したように、上映回ごとに無料で取れる枠は限られている。お目当ての作品の枠が埋まっていたら、やはり映画鑑賞は断念――はしなかったかも。調べてはいませんでしたが、すぐそばにシャンテもあり、たぶん捜せば代案は出ただろうし。しかしこちらも無事にチケット確保に成功。午前中と違い、想定通りに話が運んだので、気分的にもスッキリしました。

 鑑賞したのは『裏切り者』『アンダーカヴァー』など多彩なジャンルに臨むジェームズ・グレイ監督がブラッド・ピットの製作&主演で挑んだSFドラマアド・アストラ(字幕・IMAX)』(20世紀フォックス配給)。現在、TOHOシネマズ新宿のIMAXスクリーンはIMAXレーザー導入のための改修に入っていて、フリーパスでIMAX作品を観たければ日比谷に来るしかない。しかも来週金曜日にはもう通常上映のみになりそうなので、早めに押さえたかったのです。

 噂通り、ブラッド・ピットの演技が圧巻の1本。感情に支配されまいとして人間関係が築けない孤独な宇宙飛行士の心情を、ナレーションで補いつつも抑えた表情で巧みに演じている。ときおりその目の動きや些細な仕草で抑えたものを覗かせ、凄まじいまでの重厚感を醸しだしてます。中盤以降、画面にブラッドひとりしかいない場面も多い故に、その円熟の表現にずーっと魅せられっぱなしです。そりゃあ絶賛も頷ける。

 しかし物語としても質は高い。近い未来の話、という設定ですが、SF的描写にことごとく説得力がある。開発が進んだことで商業化と紛争地帯化が進んだ月に、遠くから地球の豊かな世界への憧れを熟成させる火星基地。そして、偉大な目的のために旅立ったひとびとの身に起きた出来事も生々しい。そこからブラッド演じる主人公が得た結論とラストに見せる表情に説得力があるのは、取材に基づく緻密なディテールと、ブラッドの名演技があいまってこそ、です。『ゼロ・グラビティ』『インターステラー』の流れに列する傑作だと思う。

 鑑賞後、ちょっとした買い出しのために寄り道……しようかとも思いましたが、陽が沈むのがだいぶ早くなり、もうすっかり暗い。それに、夕飯までには帰る、と母に伝えてあったので、大人しくまっすぐ帰りました。

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