レポートがなかったので、いまさらながらふぐだし潮 八代目けいすけ。

 10月28日の映画鑑賞のあとの話……けっきょく大つけ麺博終了後まで持ち越してしまった。
 私は有楽町で映画を観たわけですが、まだ大つけ麺博の会期中ゆえ、当初は新宿まで足を伸ばそうか、と考えていた。しかし、駐車場に移動した頃には既に12時半、有楽町から新宿まで、ルートは単純とは言い条、また駐車場に駐めて歩いて移動して……と考えると、帰りがだいぶ遅くなり、そのあとの行動に支障を来す。
 そこで、駐車場からほど近いところにあるふぐだし潮 八代目けいすけに久しぶりに立ち寄ってみることにしました――実のところ、お気に入りだった四代目が閉店し、そのあともこまめに通っていた六代目をいっさい告知なしに閉店してしまったことで、けいすけの系列自体に不信感を抱いてしまって、足が遠のいていたのです。銀座地区ではここと、鴨出汁に焦点を当てた九代目が依然として営業していたにもかかわらず、イヤな記憶が蘇るようで、行く気がしなかった。
 しかしこのひと月ほど大つけ麺博に繰り返し通い、いつもと違う味に接することがちょっと楽しくなっている。それなりにあちこち食べ歩いてきたいま、改めて食べてみようかな、という気分になったのです。
 

ふぐだし潮 八代目けいすけのふぐだし醤油らーめん美味玉付き。

 というわけでいただいたのは、ふぐだし醤油らーめん美味玉付きです……久しぶりすぎて忘れてましたが、前回もこれの味玉抜きを食べてました。だって、どーせならメインと思われるふぐだし潮らーめん以外のものにしたかったんだよ……。
 名前通り、スープはフグで出汁を取り、醤油をタレにしたもの。色は濃そうですし、実際塩分も強そうではあるのですが、しかししょっぱい印象はない。啜ってみると醤油らしいインパクトとコクがありながら、とても上品な風味が口のなかに残ります。ちゃんと計算されている。
 麺はかなりの細麺。前に食べたときは「蕎麦かな?」と思ったようですが、一般的な蕎麦より更に細くストレート。茹で加減は柔らかめで、食べ心地は蕎麦に近く、するすると啜れる。個人的にはもうちょっと弾力あってもいいんじゃ、という気はするのですが、この立地と高級食材、という取り合わせからすると適度かも知れない。
 具材も特徴的で、茶色に煮込まれたメンマとたぶん花麩の一種と思われる紅葉のような食材、それからスープ全体にネギとニラが散らしてある。いちばんの特徴は、いわゆるチャーシューではなく、茹でた白身魚が入っていることです。商品の一貫性を考えれば、フグの身を削いだもの、と思われますが、正直確信はない……なにせ、海産物自体がそこまで好きなわけではないので、ふぐ刺しの類もたぶん1回食べたかどうか、という程度なのです。
 ただ個人的に、この白身はあんまり活きていないように感じます。スープの上品で奥行きのある風味と違い、こちらは白身魚ならではの旨味が乏しく、ちょっと身も固い。或いは、今回私が提供されたものが、調理の加減を誤っていたのかも知れませんが、これならもうひと工夫欲しかった、という印象。既にスープで充分に風味を感じさせているので、白身魚の弾力を加えたかった、という意図なら、濃い味付けにしていないのは正解ではある。
 提供された盆には小皿が添えてあり、こちらには小さめのすだちをカットしたものと、ワサビが添えてある。どういう風に使うのか、は確認していなかったので、私はスダチを、麺が残り1/.くらいになったタイミングで絞ってみました。上品とはいえいささか飽きが出始める頃に、爽やかな酸味を加えてくれます。ワサビは使うのを忘れました――あとになって考えると、これはこのお店で推している、残ったスープをご飯に注いで作るふぐだし茶漬けの薬味として使うのが正解だったのかも。別のお店でたまーにそういうやり方もしますが、そうすると体重が覿面に増えて、その日の透析時間が延びてしまうので、用意と覚悟がなければ、一緒にご飯を注文するのは難しい。ただ、ここは食材が高級であるがゆえにか、ボリュームも控えめなので、次に食べに来る機会があれば、試してみていいかも知れません。
 実のところ、トータルでは決して好みというわけではない。ただ、食材の持ち味である上品さと、ラーメンに求められがちなパンチを適度に併せ持ち、もういちど食べてみようかな、という気にさせる個性は、確かに完成度が高い。実際、好みではないけれど、機会があればまた来てもいい、という気分にはなってますし。
 ……あとは、接客が醸し出すお店の雰囲気を向上させてくれれば、もうちょっとこまめに脚を運ぶ気になれるんですが。四代目は接客もお店の雰囲気も良かったのに、ここも含め、けいすけの他の店は覇気も優しさも乏しいのです。隙なくとも、客も座っているカウンターで、作業をするのは控えたほうがいいです……。

 ……ただまあ、ここに立ち寄らなくなった理由には、そもそもラーメン店としては価格設定が200~300円ほど高めになっている、というのもある。同額出せば、同じビルの上階にあるつるとんたんでボリュームも満足感も味わえる、と解っているなら、私はそっちを優先してしまう。やっぱりそれなりに完成されているし何度でも楽しめそうだ、と思いながらも。

カウンター前に掲示されたサイン色紙……ここにサインした乃木坂46のメンバー、もう秋元真夏しか残ってないな……。

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