『薬師寺涼子の怪奇事件簿』ファイナルファイル 東京デッド・オア・ラブ(後編)

 マリアンヌ&リュシエンヌの援軍を得た涼子たちは、瑠璃子の本拠である芝に直接乗り込んでいくが、既にアジトはもぬけの空だった。東京タワーの足下で待ち受ける瑠璃子と、涼子は直接対峙する――!

 ……こういう原作つきのアニメで、語られていないストーリーを作る場合は、本筋をなるべく破壊しないようにする、というのが普通だという認識だったもんで、まさかこんなに“戻る”ことを意識しないでまとめるとは予想してませんでした。そういう意味では、本当に予想外だった。

 だが、では出来が良かったかというと、自信を持って首を横に振ります。伏線の張り方がぐちゃぐちゃだし、行動に筋が通っていないし、ラストの展開もあまりに雑。原作を前提としてまったく別路線で、と定めていたならもっときめ細かにシリーズ構成すればいいのに、細部のリンクをほとんど考慮していないから、カタルシスにも結びつかない。なんか適当にやってごまかしました、という印象しかありません。原作にしたところで、しばしば説教臭くなるし伏線は充分ではなかったりしますが、少なくともキャラクターに筋は通っているし、カタルシスもあるというのに、何だろうこのていたらくは。もなみの扱い方は原作でもああすると思うのですが、しかしもうその前後がとっちらかりすぎていて評価のしようがありません。

 絵は綺麗だし声の相性も良かったのに、ひたすらシナリオの拙さが致命的でした。最初3回ぐらいまでは良かったのになあ……。

 当初、音楽はけっこう良さそうだったので、余裕ができたらCDを買おうかとも思っていたのですが、こっちもCDのCMで使用され、今回のEDでも流れたメイン・テーマのヴォーカルつきヴァージョンの歌詞があまりにセンスがなかったため、見送り。色々なところで期待外れな作品でした。

 ……原作でこの状況、引き継いだりしないよな……?

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