アリスが遂にミドルスクールを卒業した。これまで学業に時間を割かれて灯里達との合同練習に精を出せなかったが、いよいよ全力を傾注できると張り切っているアリスに、アテネはこの前果たせなかったピクニックにもういちど赴くことを提案する。アテネをお客に見立てて、アリスは本番さながらに彼女をネオ・ヴェネツィア案内に導くのだった。
前回が少し軽く感じられたのは、もともとアリスにとっての大きな節目となるこのエピソードを強調するためだったようです。原作通りなのでしょうが*1、それをこういう風に近接して設定することで意図を深めるあたり、構成もきっちり考えられているのが解ります。
卒業というところで初めて校内でのアリスをまともに描写したような――いや、前にもありましたが、あのあたりではまだ孤立していたはず。学校に通いながらウンディーネとしての修行をしていて、しかも有望株なんですから、密かに人気があっても何らおかしくないのです。ちゃんとそういうところを見せているのは立派。
如何せんルートが同じなのでどうしても既視感を覚えてしまいますが、しかしだからこそ灯里&アリシアとアリス&アテネのキャラクターや絆の違いがきちんと克明になる。単品としても優秀ですが、旧シリーズからずっと追い続けてきた眼には非常に感慨深いです。
そして、クライマックス。正直この流れは予想してなかった。従来からの描写からすればあり得たことではありましたが、なまじここまでが完璧に灯里のパターンをトレースしていただけに油断してました。回想シーンも交えていただけにインパクトは強烈です――だが、だがそのせいで、初期シリーズが意外と作画のクオリティとしては安定しておらず、このシリーズが如何に異常なほどハイクオリティであるのかを却って痛感してしまいました。初登場のアリスなんか、けっこー描画が雑だったぞ……
ともあれ、このいきなりの大逆転は、完璧にシリーズ完結への布石と見て間違いないでしょう。いよいよ大詰め、色々覚悟を決めておこう……というのに次回は藍華とアルの恥ずかしい話かっ!
*1:しかし連載では読まず11巻もまだ入手していない私には確証はないのですが、流れや脚本担当者の他のエピソードからするとたぶん原型があるはず、ということで。
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