鳥居耀蔵配下の者たちが、アトルに目をつけた。異人の女として流言飛語を撒き散らし、追い込もうとする彼らに対し、先頭切ってアトルを助けようとしたのは狂斎であった。彼の機転によってどうやら吉原の果て、羅生門河岸にまで辿り着いたアトルであったが……
相変わらず6時台とは思えないくらい題材が渋い。花街として知られる吉原の実像を、デフォルメを施しつつけっこう丹念に描こうと試みています。
でもって、今回は妖夷と事件が絡んでいくうえでの趣向もちょっと凝っていて見応えがありました。しばらく前から点綴されていたサブキャラの話が、アトル達の物語と結びついて羽ばたくあたりは見事。設定の魅力ばかりが先行していた本編ですが、初めて話の構成に感心しました。妖夷という理屈に束縛されない存在だからこそ許されたクライマックスと、登場人物たちの感情とが重なるさまは秀逸。アトルという異界の娘の存在が大幅に役立てられ、メインである竜導や小笠原達の背景が物語に味わいを沿えている点でも良し。
だいぶ時間はかかりましたが、ようやく歯車が噛み合いはじめたという趣です。この調子で続いてくれればもう文句はないんですが……はてさて。
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