『ARIA The NATURAL 〜遠い記憶(ゆめ)のミラージュ〜』だいたい完了。

 ちまちま遊んでました。だいたい、というのは通常ルートにおける三人娘それぞれのバッドエンドを回収していないからなのですが、正直時間を置いてからでないとそんなところまでやってられないので、今のうちにいちどまとめておこうかと。

 序盤の印象は良かったのです。口癖でキャラ立てするのはほどほどにして、行動と雰囲気でキャラクターを再現する手管。基本的には原作のエピソードをなぞっているのですが、プレイヤーキャラを視点人物に加えたことによる変化がちゃんと用意されていて、お陰で臨場感をちゃんと味わえる。『ARIA』の世界を疑似体験する、という趣旨では理想的な仕上がりに見えた――の、ですが。

 いけないのは、キャラクター攻略型のシナリオ構成であるにも拘わらず、拡がりが見られないこと。いずれのキャラクターでも終盤の展開は一緒で、繰り返すごとに飽きが来る。せっかく選択肢を用意しているのなら、キャラクターごとにもっと異なった見せ場を設けるべき。そうじゃなきゃゲームとしてあまりに楽しみ甲斐がない。

 もっと拙いのは、そうしてひととおり三人のエンディングを見届けたあとに、新しいルートが始まること。これから遊ぶ方のために詳述はしませんが、本来ゲーム独自の方向性としてもっと丁寧に描かれるべきこのシナリオが、通常ルート以上に詰まらない。考証は行き届いていないし、こちらも三人娘それぞれに結末が用意されているのに、ラストシーンにまったく差がない。道程にちょっとした変化があるだけでは、普通の人は付き合ってくれないでしょうに。

 肝心の、主人公がああいう展開に巻き込まれた動機付けも雑ですし、それによって描こうとしていた主題も、この『ARIA』という物語本来の方向性をねじ曲げていて、どうも不快感ばかりが募る。なまじキャラクターや基本的な雰囲気を押さえているだけに、この新しいルートの展開はどうしても納得できないのです。そのうえ幾ら苦労しても、見られる結末は一緒と来ては。

 キャラクターの再現率、通常ルート最初の2回目ぐらいまでは好印象。しかしそれ以降、ゲーム独自の締め方に至るまでが駄目。絵は綺麗ですし、アニメ版よりも性格を弁えた会話のやり取りなどは評価したいのですが、普通にゲームとして楽しむことが出来ないのではさすがに認められません。あー勿体ない。

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