先週土曜日に続いて、きょうも旧作の鑑賞です。ただし『風の谷のナウシカ』と違うのは、こちらは昨年に再編集された最新ヴァージョンだ、ということ。今年の2月からIMAXの劇場メインで劇場公開されてたのですが、私はこれについてはDolby Cinemaで観るのに向いてる、と思った。当初は4月からかかるはずだったのですが、ご存じの通りの仕儀で、先週までずれ込んでたのです。ようやく観られる。
生憎の雨模様ゆえ、電車にて赴いたのは丸の内ピカデリー。未だDolby Cinemaを採用してるのは、近場ではここしかない。
作品は、フランシス・フォード・コッポラ監督が自身の歴史的傑作を公開40周年記念として再編集、オリジナルに50分以上加えた特別完全版をカットして約3時間にまとめた『地獄の黙示録 ファイナル・カット』(KADOKAWA配給)。
実のところ、私はこの作品の劇場公開版を2017年、午前十時の映画祭にていちど観ただけ、なのでそもそもオリジナルの状態を完全には記憶してないので、どこが変わっているのか解らない、というのが正直なところ。しかし、30分の延長をほとんど意識しないほど没頭してしまったのは、これもまた見事に完成されているが故でしょう。序盤のサーフィン狂・キルゴア中佐の進撃とともに奏でられる“ワルキューレの騎行”、前線に設けられた舞台で繰り広げられる慰問の狂乱ぶり、指揮官なしで無秩序な戦闘を繰り返す兵士たち、といった狂気の数々は相変わらずのインパクト。たぶんその随所に細かなカットの追加や削除が施されていた、と思われますが、全体としての構成がもたらす印象は変わらない。尺を伸ばしても間延びした感を与えないのは、映画としての完成度が上がってる証明だと思う。
わざわざDolby Cinemaで観た甲斐もありました。このシステムならではの深い黒の表現が、陰影を駆使した本篇には合っている――暗すぎて終盤のマーロン・ブランドはほとんど顔が見えませんが、この場合は正解でしょう。そして何より、ドルビー・サラウンドがもたらす、振動さえ感じる音響の迫力が素晴らしい。とりわけ“ワルキューレの騎行”のシーンは、なまじその攻撃の激烈さが体感できるだけに、よけいにあの状況を楽しんでいるかのようなキルゴア中佐たちに慄然とします。このファイナル・カット版は既にソフト化されて配信でも楽しめますが、可能な限り整った環境で味わうべきです、やっぱり。
鑑賞後は近場で昼食……のつもりでしたが、きょうは激しく天気が崩れる可能性があったので、あまり歩き回りたくない。何より、今朝方は出かけるのを躊躇うくらい腹具合が悪く、とりあえず映画鑑賞中は治まっていたとはいえ、いつふたたび暴れ出すか解ったもんじゃないので、自宅近所のコンビニで買って、家で済ませました。
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[…] 原題:“Apocalypse Now” / 原作:ジョセフ・コンラッド『闇の奥』 / 監督&製作:フランシス・フォード・コッポラ / […]