そろそろスタジオジブリの特別上映も終わりそうな気配と、これだけはできる限り早く観たい、という感情のバランスを取ろうとした結果、久々にハシゴすることにしました……あんまり続けて観ない方がいい奴だ、とも思ってはいたんですが、まあたまには映画で気力使うのもいいだろう。
映画館はTOHOシネマズ上野。今回は、観たいのが両方ともかかってること以上に、大雨になりそうな予報が出てたので、移動に手間がかからない、というのが最優先でした。ホントに、私にはいちばん楽なんですよここが。
仮眠をちょこっとだけ取って、電車にて駆けつけ、まず鑑賞したのは『SAW』の脚本家であり、最近は『アップグレード』など監督業でも気を吐くリー・ワネルがSFの古典的題材を現代に蘇らせた作品です。透明人間になった夫に付け狙われている、と訴える女性の恐怖を描くSFサスペンス『透明人間(2020)』(東宝東和配給)。
……いややっぱしハシゴには向かんよこれ。冒頭から緊張感ビリビリで痺れっぱなし。光学研究の権威である夫なら、透明になって身を隠すことも出来るはず、と訴えるものの、ヒロインの体験を知らない者が信じるはずもない。精神的にじわじわと追い詰められていく様の異様な緊迫感の見事なこと。意味深なカメラワークで、何も映っていない空間に気配を感じさせる手管を多用した演出は、『インシディアス』シリーズで経験を積んだ監督らしい。そして、ひねりの効いた一筋縄でいかない決着も素晴らしい。
もともとトム・クルーズ主演の『ザ・マミー』を端緒に、往年のモンスター映画を同じ世界観でリメイクする企画の一部だったはずが、『ザ・マミー』が不評に終わったため、予算を縮小して別企画として仕切り直したものだったそうです。それが、製作費を遙かに上回る大ヒットを遂げてしまったため、けっきょくこの路線で改めてモンスター映画のリメイクが実施される運びとなったそーです。結果を出したので、続く『Wolfman』もリー・ワネルが手懸けることになった、というのも宜なるかな。『SAW』を一緒に手懸けたジェームズ・ワン監督はホラーのプロデュースをしつつ、自身は娯楽大作中心にシフトしていますが、リー・ワネルのほうは依然としてエッジの効いたアイディアが支える快作を続けて発表してくれてるのが嬉しい。
いちどエスカレーターでロビーに戻り、もういちどもぎりを通って鑑賞した2本目は、リヴァイヴァルなのに週末興収ランキングを制覇しつづけてるスタジオジブリ作品のひとつ、中世日本を舞台に、自然に君臨するもののけたちと、開発を進める人間との対立をドラマティックに描いた『もののけ姫』(東宝配給)。TOHOシネマズ日劇の閉館記念上映でも観てますが、感想を書くタイミングを逸していたので、復習がてら観るつもりでした。
ついこのあいだ『風の谷のナウシカ』を観てるからこそ解りますが、この10数年でアニメーションとしての表現がぐんと向上してる。動きが滑らかだし、タタリ神やシシ神のような非現実的なモチーフもうまく織り込んでいる。そして初見のときも思いましたが、これは『ナウシカ』の主題の変奏でもある。それも、自然が驚異的であるが故にストレートだった『ナウシカ』に対し、アシタカという第三者の目線を使うことで、あえて割り切れないところで物語を紡いでいるのが興味深い。モロが何を考えていたのか、とかアシタカがラストでああいう結末を選択したのは何故か、とか謎を多く残しているのも、作品としての奥行きを感じさせる。それでも私は『ナウシカ』や『天空の城ラピュタ』の見事にハマる感覚のほうが好きなんですが、これもまたやはり傑作。
鑑賞後、まっすぐ帰宅……はせず、ヨドバシカメラマルチメディア上野に立ち寄り、今朝方破損してしまったApple Watchを購入し直す。私が使っていたのはSeries2でしたが、機能的にこれといって不満がなかったため、現在では型落ちとなったSeries3の、しかもセルラー機能なしのものにしました。
帰ったらさっそくiPhoneとペアリングして……と思ってたんですが、こんどはそう簡単に壊すまい、と一緒に買うつもりだった保護フィルムが、置いてない。扱ってはいるけれど、私が購入した38mm対応のものは、表面を保護する簡素なものしかない。
仕方なく、帰りの電車内でiPhoneからヨドバシのサイトにアクセス、ネットから保護フィルムと専用ジャケットを注文するのでした……これならはじめからぜんぶネットで頼んでもよかったな……。
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