今週、実は優先順位の都合で、火曜もきょうも観る作品は先週中に確定してました。どちらも新宿なので、ハシゴできたら最高だったんだけど、あいにくきょうみることにした作品はきょうが都内の最終日。『ゴジラvsコング』が遅らせたくなかったのだから、もはやこの日から移しようがない。
前日までの天気予報では、出かけているあいだくらいは天気が保ちそうだったので、バイクで出かけるつもりでした。しかし当日の空は思いのほか不穏、予報もちょうど帰りの頃合に悪化してる。おとといみたいに、出かけてみたら心配無用だった、なんてパターンもあり得そうですが、大事を取って今回も電車を使うのでした。
訪れたのは新宿シネマカリテ。昨年は短期間に立て続けに訪問するときもありましたが、今年はこれが初訪問。電車で来るのも久し振りなので、何番車両に乗れば、最寄りの東南口に出るのかも忘れていて、余分に歩いてしまった。
鑑賞したのは、『少女ムシェット』のロベール・ブレッソン監督が自身の作風を完成させた代表作、信仰と自身を蝕む病のあいだで揺れる若い司祭の懊悩を描いた『田舎司祭の日記』(MERMEID FILMS配給)。実は私、シネマカリテで前に観たのもロベール・ブレッソンなのだった。
……作業が大詰めで、毎日寝不足になってる状態で観る作品ではなかった。なんども意識か飛びかけた。話の切れ目は感じてないので、たぶん完全には眠ってない……はず。
しかし、静謐のなかで織り込まれた感情描写は実に豊潤。初めて任された教区に意気込みながらも、身体の不調に加え、信徒の不信心ぶりに悩まされ、思うようにいかない。若さ故経験を疑われ信心の深さを疑われ、求められて助言を与えても却ってボタンをかけ違える。信仰というものがしばしばひとを追い込んでいく、という様を淡々と、凝縮して描いている。この監督は本篇以降、職業俳優を使わず素人で撮るスタイルを使っているのですが、だからこその拙さ、朴訥さが、プロのそれとは違う真実味を生んでいる。
昨年鑑賞した『バルタザールどこへ行く』『少女ムシェット』にも通じる諦念、虚無感が既に明瞭な味わい深い作品。映像ソフトではリリースされ、映画祭などでも上映はされたらしいのですが、劇場公開はこれが日本初なのだそうです。既に亡くなった監督ですが、この感じだと今後もリヴァイヴァルやリマスターが公開される機会はありそうなので、なるべくチェックしたいと思います。この遣る瀬ない空気が好き。
鑑賞後は、私にとってはもはやいつものルートになりつつある麵屋海神に立ち寄り昼食。思いっきり昼食時に食い込んでいたので、座れなかったら別の食事にするつもりでしたが、空席があったのでそのまんま入店。
食事を済ませて出ようとすると、入口から階段に向かって列が出来ている。実にいいタイミングだったらしい。私にとって、ここはほんとに相性がいいようです。
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[…] 原題:“Journal d’un cure de campagne” / 原作:ジョルジュ・ベルナノス / 監督&脚色:ロベール・ブレッソン / […]