本日、夕方から母は用事があって出かけます。そうなると、介助者がいないので、私の透析も出来ない――ぶっちゃけ、基本的にほとんどのことは自分でやるのですが、本当に非常事態に陥ったとき、対処できる人間がいなければ実施しない、というのがルールになっている。
というわけで透析はお休み。せっかく夜が空いているので、この時間でないと鑑賞しにくい作品を観てくることにした。気になっているけど、上映時間がいまいち私の都合と会わないものをピックアップし、あーでもない、こーでもない、と悩んだ結果、行き着いたのは――丸の内ピカデリーでした。まさかの、1週間足らずの再訪。
正直なところ、家を出るときにだいぶ躊躇しました。地方によっては土砂災害警報が出るレベルの大雨。電車を使えば徒歩の移動も少ない、とはいえ、その短距離ですらかなり濡れそう。けっきょく出かけましたが、案の定、自宅から駅まででパンツの裾は色が変わってました。
ちょこっと買い物に寄り道しつつ鑑賞したのは、史上最も売れたソロアーティストにして、未だ強い影響を残すエルヴィス・プレスリーの成功と破滅を、バズ・ラーマン監督が描き出した『エルヴィス(字幕・Dolby CINEMA)』(Warner Bros.配給)。もっと早く観るつもりだったんですが、なんだか公開当初から上映時間に合わせにくく、機を逸しかけてました。母の用事と、この時間帯の上映が噛み合わなければ観逃してたかも知れぬ。
バズ・ラーマン監督だからそーなるだろな、と思ってたとおり、ひたすらハイテンション。とにかくずーっと音楽鳴りっぱなし。異常なほどに細かいカットを積み重ね、観ていて疲れるくらいにパワフルに語り続ける。
気力を持って行かれつつも観てしまうのは、微妙にメリハリはつけていることと、肝心のエルヴィスのステージの魅力を見事に表現しているお陰でしょう。最初はそんなに似てないな-、と思うんですが、しかし終盤になるともうエルヴィスそのものにしか感じない。それ故に、彼が壊れていく様にも説得力があって、いささか痛々しすぎるとも言える。
物語はのちに“悪徳マネジャー”という評価を受けるようになるトム・パーカーの視点で綴られている。世間的には自分が殺した、と言われているが、というナレーションを導入にすることで、エルヴィスの半生に“謎”を設定して観客を牽引していく手管も巧い。その結論は……観てもらったほうが早いですが、個人的には、言い訳じみているけれど説得力はある、と感じました。恐らく本物の映像を引用したエピローグも効果的。
なにせ、本物に近づけた演奏で通すのではなく、現代的なアレンジを施したBGMが随所に挿入されるので、その再現性にも期待していたひとは不満を抱くと思う。しかし、バズ・ラーマン監督らしい娯楽性とテンションの高さで、その華やかで業の深い人生をよく描き出しています。
鑑賞後はまっすぐ帰宅。用事を済ませた母と夕食を摂ったあと、いつもよりだいぶ遅い時間に『Fit Boxing 2』のデイリーと、久々に再開した『リングフィットアドベンチャー』をこなす……変な時間にやったせいか、いま、だいぶボーッとしております……。
コメント