三大妖精たちの若かりし日(と言ってもほんの数年前の話だと思うが)を聴いて、いまの心地よい日々が過ぎ去っていくことに不安を覚えるアリス。
……あ、あれ? なんか今回は序盤の演出が微妙です。心の声で済ますべきところで唇を動かしてしまっていたり、逆に不要なナレーションが入っていたり。中盤に差し掛かって、若き日の三大妖精の訓練風景を描く場面は心地よかったのですが、序盤のぎくしゃくさ加減が記憶に残って、終始微妙な手触りでした。
それでも白眉が一箇所はあるのがこのシリーズの素晴らしさと言いましょうか。今回は第二パートに入って直後にそれがありました。アリシアと晃の前で初めてアテナが舟歌を歌い出すシーン。メロディと歌詞が先にあるのですからそうするのが当然とはいえ、ちゃんと言葉に合わせて口を動かしている。途中から演出がいささか行きすぎてましたが、あのシンクロ感には鳥肌が立ちました。比喩でなく本気で。もうひとつ、別れ際の灯里の表情も良かった。思わず昂ってくる感情を、ほんの数秒、ほとんど動かない表情で伝えている。
シナリオにやや不満を覚えましたが、個人的には時間差“禁止”をちゃんとやってくれただけで満足です。それと今回、ふだんはあまり意識することはなかったのに、一箇所だけ藍華の声が『ぱにぽにだっしゅ!』のベッキーのそれに聴こえました。同じ斎藤千和が演じてるんだから当たり前、かも知らんが彼女に関してはほとんど意識させられたことがなかったので、ちょこっと吃驚した。
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