『3年B組金八先生第8期』第8回

 アメリカ人の父を持ちながら、英語の出来ない紋人は、間もなくイラクへ駐留するという父からの手紙が読めないことに悩む。スピーチも出来るほど英語力に優れる亮子に翻訳を頼もうとするが、恥ずかしさもあって人前で渡すことが出来ない。しかし、そんな彼の行動が、まるでラヴレターを手渡そうとしているかのように映り、奇妙な誤解を招くことに……

 このシリーズの長い歴史でも珍しい、見た目からハーフと解る少年が今回の主人公。生徒ひとり一人にスポットを当てていく作りだからこそ、こういうキャラクターが色物扱いされずに組み込める。黒人とのハーフを題材に差別に言及する、というあまりに月並みな話運びですが、このシリーズで扱う以上はむしろひねらないのが正解でしょう。まっすぐぶつかって、ちゃんと答が出るようにしているのがいい。

 ただ引っ掛かるのは、街で踊る紋人を見て、すぐに“中坊”だと決めつけられるくせに、日本人とは異なる顔立ちにあとで気づく、というのはちょっと不自然。名前さえない登場人物の言動ですからまあそこは許容するとしても、渡された手紙をスムーズに、まさに日本語で書いているが如く読み上げてしまう亮子の台詞回しは、演出家がちゃんとチェックするべきでしょう。いいシーンのはずなのに興が削がれました。

 話の流れの巧みさ、期せずして同級生たちが一丸となり、その姿を傍観するうちに一匹狼だった美加の表情にも変化が生じている、という群像劇としての巧みさもいい。そんな具合に志は悪くないのに、どうもところどころに細かなミスが認められるのが困ります。

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