恒星になりそこねた。

 先週土曜日、諸々の都合から観逃す羽目になった作品、当初はきょう押さえるつもりでした。しかし、火曜日の夜あたりから、今週末以降の上映スケジュールが判明しはじめ、色々と検討してみた結果、どうも別の日にしたほうが都合が良さうだったので、予定を変更し、これまた是非とも観たかったけど、いつ差し込むかずっと思案していた作品を拾うことにしました。

 午後、雨の予報を考慮して電車にて赴いたのは、TOHOシネマズシャンテ。鑑賞したのは、『ニュー・シネマ・パラダイス』で世界的に知名度を上げ、近年も『鑑定士と顔のない依頼人』など秀作を発表し続けるジュゼッペ・トルナトーレ監督最新作、突如亡くなった天文学者から死後も届くメッセージの謎と、それに向き合う恋人の姿を、ミステリ的な手捌きで描き出した愛のドラマある天文学者の恋文』(GAGA配給)

 予告篇と序盤の描写があまりに素晴らしすぎて、期待しすぎてしまったのでしょう、正直なところ、観終わった直後は釈然としませんでした。演技、演出、映像、音楽、どれを取っても見事なクオリティなんですが、終盤はもうちょっと何とかならなかったかな、と。ただ、観終わったあとでじっくりと吟味しているうちに評価が変わりました――詳しくは述べませんが、これはいわば“恒星になり損ねた”物語。そして、それを念頭に置いて思い起こすと、むしろ登場人物の思いの深さ、豊かな情感が蘇ってくる。人によっては、それでも期待外れだった、という評価を下すかも知れませんが、しかしトルナトーレらしい、美しく味わい深い作品であるのは間違いない。うむ、やっぱり劇場で観て良かった。

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