もうあの蕎麦とうどんには会えないかも知れない。

 またぞろ近づいて来ている台風の影響で、土曜日以降は雨交じりの予報が続いている。自転車に乗って出かけたいなら今日しかない――というのに加え、どうしても確認しておきたいことがあったので、本日は自転車にて、久々に西新井へと赴きました。相変わらずここは上映開始が早いので、朝食や支度を早めに済ませ、大急ぎで移動。

 調べてみたらほぼ半年ぶりの訪問となるTOHOシネマズ西新井にて鑑賞してきた今日の1本は、『秘密結社鷹の爪』シリーズ最新作、吉田くんの少年時代の冒険を、冒険映画タッチで描いた鷹の爪8 吉田くんの×ファイル』(DLE Inc.×Presidio配給)。このシリーズは何となく、舞台挨拶などのイベントを意識的に狙って鑑賞してるんですが、今回は色々と都合がつかずに、通常上映で観てきました。まだフリーパスは有効なので、チケットは無料でしたけど。

 今回はネーミングライツによる費用の確保、という趣向を使っていないからなのか単にスタッフの都合なのか1時間ちょっとの短めの尺。しかしそのぶん、他の作品よりもストレートに、子供も観やすい冒険映画的な仕上がりになってます。我慢しきれず、大きなお友達でないと理解できないネタも無数にちりばめてますが、ギャグの構造は全般に解りやすい。その一方で、オカルトネタや冒険ものらしい仕掛けに、しっかりしたSF的趣向まで施されている。ギャグ中心に組み立てているがゆえのテンポの悪さが少し感じられるものの、尺が短めなので気になるほどではない。やや趣向をマイルドにしながらも、ちゃんといつもの『鷹の爪』になってます。

 しかし、ぶっちゃけ、今日の本題は映画ではありません――まあ『鷹の爪8』は絶対に観るつもりでいましたが、あくまで用件との兼ね合いで選択した、と言っていい。私が今日、確認したかったのは、行きつけの蕎麦屋の現在です。

 しばらく前に、家族とともに食べに行こうと思って電話をかけたところ、「いまは休んでいて、店を続けるか考えている」という趣旨だった。体調であったりご家庭の都合であったり、事情は様々ありますから、こちらとしては無理は言えません。場合によっては、電話で近況を訊ねること自体が負担にもなりかねないので確認も出来ず、ずるずると足が遠のいていました。

 本日は、あえて電話をかけず、直接店まで赴こう、と思ったのです。もし開いているなら普通に入って食事してくればいい、締まっているにしても、現状を確かめておきたかった。

 映画館から30分ばかり自転車を漕いで辿り着いたお店は、締まっていました。ただし、閉店の案内もなければ、臨時休業の案内もない。シャッターが下りた入口の前には自転車が通せんぼをするように置かれていて、店舗の脇から覗ける調理場の石臼には布がかけられていた。

 店舗そのものがそっくり無くなっている、というほど絶望的ではないものの、営業している気配はない。ここで電話をかけて訊ねる――というのも申し訳ないような気がして、すごすごと家路に就きました。

 仕方のないことではありますが、どうにも寂しい。色々なところに足を伸ばすようになって、贔屓の店も増えましたが、この店の蕎麦やうどんと同系統の味にはほとんど遭遇したことがないのです。残念だ。

 途中で別の店に立ち寄ることもせず、とりあえず家まで戻り、自宅近所のファストフードで軽めに買ってきて、本日の昼は済ませました。炎天下、久々にがっつりと自転車を漕いだがゆえの疲れもあるのでしょうが、心理的な虚脱感もたぶん手伝って、しばらく動く気力も湧きませんでした。

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