女主人ドロテアに求められて、エマは侍女として彼女の外出に付き添う。彼女が訪ねたのは通称ミセス・トロロープという、社交界から離れ隠遁生活を送っている婦人であった。かつてロンドンに暮らしていたという彼女の言葉に、エマはウィリアムとの記憶を蘇らす。一方のウィリアムは、エマを喪ったショックから未だに立ち直れずにいたが、そんな彼に想いを寄せるエレノアとの仲を、周囲は取り持とうとする……
アニメとして改めて読むと、これはふたりが別離したことで物語にいっそうの膨らみを齎されたように感じます。謎の組み立て方や時代背景の盛り込み方が洗練されてきた、というか。
基本的に付き添いの役を出ないためにいまいち活躍の場のないエマに代わって、今回露出が増しているのはエレノア。原作を読んでいるときから感じていたことですが、エレノアはあまりに可愛すぎて、行動のいちいちが気の毒になってしまい堪りません。何せ、エマの物語である以上彼女の悲恋は約束されているようなものですから。特に今回のようにいじらしい姿を何度も見せられると、幸せになって欲しいと思わずにいられない――原作者でさえそう思っていたようで、番外編に移行した第8巻ではちょこっと今後の幸せを暗示する話が描かれていますが。以上閑話休題。
相変わらず18時台のアニメとは思えない長閑で優雅なタッチにて描かれているなかで、いい具合にはっちゃけているハキムが相変わらず素敵です。しかし今回、往年のアニメファンとして感慨を強くしたのは、今後のキーパーソンとなるミセス・トロロープを島本須美が演じていたこと……あー、もうそういう時代なのね。どこか浮世離れした雰囲気が出ていて、いい配役であることは間違いないですが。
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