『バビロン(2022)』を観たそのあとの話。
いったんロビーに戻り、飲み物とポップコーンを購入してからふたたび中へ……お願いだからTOHOシネマズはいい加減、列をまとめてくれんだろうか。私が並んだところ、グループ客が多かった上に、従業員の手際もいまいち悪く、私の番になるまで時間がかかりました。あと1分遅かったら、またしても本篇前の特別映像を見落とすところでした……。
特別映像は、ウエストランドが長年続けている配信番組『ぶちラジ』からの抜粋。日本エレキテル連合が休業、タイタンとは業務提携になったことで既に、爆笑問題を除いた事務所としてのトップになってましたが、M-1の優勝でいよいよ盤石になった感があります。
本篇のトップバッターは若手のしびれグラムサム。癖のあるネタと濃いめのツッコミで、ちょっと好みは分かれそう。巧く噛み合うと爆発しそうな印象なんですが。
ふた組目は春とヒコーキ。子供部屋に現れたおばけが現実を知る、という流れ。よく出来てるけど、オバケのヴィジュアルが奇妙すぎて入ってきません。本格派にしろ、とまでは言わなくとも、せめて初見くらい怖さを感じられるくらいでちょうど良かったのでは。
3組目は早くもゲスト登場、モグライダーです。彼らの面白さは、ボケのともしげのどこまで台本なのか解らない天然っぷりにありますが、この尺だと間違いなくほぼほぼ天然だろう、と言い切れる。さすがに中盤の、客にも追い越される感じは、狙ってもなかなか出せない。
次はダニエルズ。今回もあさひの女装ネタです、が、と起筆すべきは仕掛けの巧さ。コントならではの“設定”を逆手に取っていて、面白く、なおかつ「やられた」という気分になる。
続いてはお久しぶりの農家兼業芸人、松尾アトム前派出所。3年振りだそうな……その合間に、彼の半生をモデルにした映画『実りゆく』の宣伝が入ったりしてたので、久々という感覚にならなかったのかも。ネタは自らの持つキャラ芸を羅列するもの……あんまり向いているとは思えぬ。下らなくて面白かった、とも言えますが、やっぱりこの方は、兼業農家としての体験、知識を反映したネタのほうが面白いと思う。
お次はまんじゅう大帝国。このところ、同じ事務所のキュウと芸風が被っていることを危惧したのか、意識的に普通の漫才にシフトしていたようですが、ここに来てまた、ボケにボケを重ねるスタイルに回帰したっぽい。仕掛けに凝りすぎたキュウより親しみやすいので、この路線をメインにして欲しい。
お次は脳みそ夫。以前の歴史などをもとにしたキャラ芸から、このところはプロジェクターを使ったネタに切り替えてますが、現在のほうが確実に笑えます……ただこの日のネタは、このライブに来るようなひとでなければ楽しめない気はする。
続いてはキュウ。相変わらずの、ツッコミと称したボケの上塗りで、どんどん頓知気な世界観に陥っていく。ひとつのトリガーで漫才全体が狂っていくのが面白いのです。
次はシティホテル3号室。イカれた価値観で職場を渡り歩く男の奇妙な世界観。こんな変な奴がのさばる職場、私なら嫌です。
お次はゲストふた組目、宮下草薙。前回、コロナ感染でやむなく欠席したのでリヴェンジの格好。草薙の強烈な被害妄想にツッコんでいく、いつものパターン。今回のヴィジュアルはほぼ漫画でした。尺はあるけど、着想が絶妙なのでほぼほぼ一点突破されます。だんだん内容に貫禄が出てきた。
引き続きゲスト3組目の三四郎が登壇。友人であるウエストランド優勝の際に号泣した動画が話題になった小宮がそこをイジられつつも、ちゃんとネタとしてまとまってる。
なんとなく並べられるだろうな、と予測していたとおり、タイタンメンバーのトリとしてウエストランドが登場。M-1優勝に漕ぎ着けたあるなしクイズのネタを仕掛けたところでいきなり笑いが湧きましたが、パーツはちゃんと入れ換え、更新もしている。ずっと繰り返していればこそのオチも秀逸で、こちらも風格が出てきたようです。それでいて井口の、色んな意味での“小ささ”は死んでませんから、たぶん彼らは大丈夫でしょう
大トリ前はお馴染みのゲストと言うよりレギュラーのBOOMER&プリンプリン。今回はワイドショー《サンデーモーニング》をイジってます……が、当人たちが思っているほどにはこの番組は浸透してなかった模様。なかなか伝わらず、難儀していた模様。でも私は解ったぞ。
そして大トリはお馴染み爆笑問題。お得意の時事ネタ畳みかけで仕掛けてくる……かと思いきや、序盤から田中がネタを見失い、迷子になっていた。太田が明らかに、次の話題に繋がるきっかけのフレーズを持ちだしてるのに、されでもなかなか戻らず、まともなネタになったのは終盤だけでした。この戸惑いとか動揺も面白いのは確か。
エンディングトークには、仕事の都合で既に離脱したモグライダーを除くゲスト、宮下草薙と三四郎が登壇。ついでにタイタン芸人から、M-1決勝進出のウエストランドとキュウも壇上へ。この面子が揃えば、やっぱりM-1グランプリ発表時の小宮号泣の話題に触れねばならない……しかしここで爆問田中が「なんで泣いたの?」という、言わずもがなの質問を、本当にビー玉みたいな目で放ったのが面白くも怖い。そりゃあ「この人、人の心を持ってない」とツッコまれるわ。
次回のライブは4月21日。そろそろマスク規定も解かれる頃合いで、次回はいよいよ本当に、昔と同じ楽しみ方が出来るかも……もっとも、基礎疾患持ちである私は、かかって万一にでも重症化するとヤバいので、とうぶんは基本マスク着用のスタンスを貫く予定。もうちょっと柔軟にはしたいけどね。
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