bananaman live “O” 配信ライブ。

 現在、2025年での閉館が決まっている俳優座劇場にて、毎年恒例のバナナマン単独ライブ『bananaman live “O”』が開催中です。もちろん今年もチケット争奪戦に挑み、順調に討ち死にしました。ただ、ここ数年はライブビューイングから配信へと、映像形式でのリアルタイム配信も実施されるようになったので、そこまで慌ててはいない……俳優座劇場で観られるのは残すところ今年と来年だけ(閉館は4月予定なので、いつも通りのスケジュールならバナナマンライブは間に合わない)なので、それなりに悔しくはありますが。
 昨年同様、いちばん大きいテレビのある部屋にノートパソコン、タブレットを持ち込み、途中で夕食を挟みつつ、リアルタイムで感想を記していくスタイルを取ります。バナナマンがラジオで注意するくらいに、もう空調などで色々と難点のある劇場で観ているよりは確かに楽ではある。
 例によって、以降はネタに触れていきます。細かいところまでは言及しませんが、大まかな方向性などには言及しますので、ちょっとでもネタばらしに接したくない方は、スクロールされませぬようご注意ください。
































 今回も1本目のネタはキーヴィジュアルと同じ構図からスタート。謎の褒めあいからゲームに突入していく、バナナマンが近ごろ好きな流れ。しかし、いったい何をしているのかこれといった説明もないまま、バナナマンの世界に観客を引きずり込む手管の巧さときたら。そして、なんだか日村さんが味を占めた感のあるネタである……配信止まったらどうする気だったのだ。
 オープニングは昨年と同様、chelmicoのトラック。Oをあしらいまくった格好いいヴィジュアルが展開する、ここだけは毎度ながら異次元。
 2本目は設楽宅を訪ねた日村の相談から始まるネタ。前提が謎の1本目に対し、こちらはちゃんと説明を入れて、具体的なシチュエーションで展開する。こういう、やたらと変化が加わるネタもバナナマンのライブではしばしば見るのですが、前提の違いと細かな小技で魅せてしまうのがさすが。
 最初の幕間ネタは《不良》。設楽さんが久々に不良の聴き取りにくい喋りでまくしたてる文字&音声のみのネタ。不良なんで頭は悪いですが、なんだか変な切なさのある展開です。微妙に思考がリアルなのがいい。
 3本目のネタはオフィスでの出来事。こういうシチュエーションは東京03の単独でもありましたが、なにせ設楽さんと日村さんですから、そこで終わるわけがない。絶妙に現代的な設定を加えつつ、いつもながらに設楽さんが日村さんを翻弄します。相変わらず細かな伏線があったり、ファンなら覚えのある小道具が出てきて擽ってくるのも絶妙。
 ふたつめの幕間ネタは《なぞなぞ》。3人目のバナナマンと呼ばれるオークラを交えたトークのネタ。このひとたちはこういうゲームが好きだな。そして見事に基本おんなじ展開で笑わせるという。これ、脚本はないんだろうか? あるとしたらうますぎるし、ないのなら本当に笑いの神が宿ってる。
 4本目はバナナマンライブ唯一の長寿シリーズ《赤えんぴつ》。仲良しフォークデュオが、トーク部分でおーちゃんのイカれた発言で揉めたあと、なんとなく仲直りしてライブに戻る、というお馴染みの流れ。ただ、ここで歌う曲が、以前は毎回のように新曲だったのですが、標板の良かった曲を再演することが増えた気がします。でも必ず1曲はちゃんと新曲がある。で、この新曲が想像以上にいい曲だったんですが……最後に本物のサプライズがあって笑劇を受けました。マジか。それはマジなのか。詳しくはたぶんいずれ解りますが、マジか。
 3つ目の幕間は《吹き出す》。ラジオでときどきやるゲームで、日村さんが簡単に噴き出すことをネタにした1本。ゲラなんだろうね、という以前に、たぶん勝手に空気を決めつけて、ひとりで受けてるのよ。オークラも一緒に。
 5本目は、謎の個展を舞台にした話。珍しく第三者がネタに加わります。意表はついている、けれどこれもちゃんとバナナマンらしい。恐ろしいのは、ハプニングっぽいことを動きに組み込む日村さんです。どんだけ稽古したのだ。
 4つ目の幕間はふたたびの《なぞなぞ》。さっきの続きと思われますが、情勢はちょっと違ってる。ラジオでもお馴染みの奇妙なノリが、大人のやり取りのような気がしません。楽しそうだな~。
 オーラスのネタは、それぞれの親子関係を巡る展開。けっこう色々なネタをやってますが、双方共に思春期の子持ち、という設定は初めてではなかろうか。暗転を挟み数日がかりで、合宿中の子供たちの出来事に日村さんの想い出も重ねて描いていく。ふたりの子供がだいぶヤバい奴なんですが、直接ではなく表現されるので適度にマイルドになっており、なおかつ、ふたりとも50代に突入したいまでは難しい青春の匂いも表現出来ている。個人的に、あちこちの出来事をもーちょっと伏線として機能させてくれるほうが好みなんですが、バナナマンらしいクレイジーさに情緒も称えた、堂々たる仕上がり。
 今回も奇妙礼太郎によるエンディングテーマののち、オーラスのネタのエピローグがあって終了。確か前回の見逃し配信ではエンディングトークはカットされていたので、ここはたぶんリアルタイム特典。当人的には今回までの4公演でいちばん出来がよかったらしい。しかもだいぶかかってしまって、一部ではいつも以上にやりすぎていたらしい。配信が止まりそうな怖さのあった1本目のネタが、実は対策済にも拘わらず更にヤバかったこととか、観終えた直後だからこそのリラックス感と観客、視聴者の一体感が快い。
 予想通り、現時点では来年の公演がバナナマンが俳優座劇場に立つラストになる可能性があるそうです――あくまで現時点では、なので、どうなるか解りませんが、来年も生での鑑賞を狙っていきます。ハードルは高いけど、何としても。

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