『アンチヒーロー』面白かった。

 昨年、思いっきりハマってしまった『VIVANT』にも似た、内容にほとんど触れない告知、タイトルやキーヴィジュアルから窺えるダークな雰囲気に、とりあえず初回だけ観ておくか、という感覚で観始め、ものの見事に捕まってしまいました。放送時間は基本透析中で、他の日なら基本はノートパソコンを開いて作業しつつながら見をしていることが多いのですが、昨日の最終回はノートパソコンを先に閉じて、真剣に向き合ってしまいました。
 ただ、最終回が意外なことだらけだったか、と訊かれると、そうではない。それまでの描写や仄めかしから、あの人の行動の真意はだいたい察してましたし、切札が誰であるのか、も概ね勘づいていました。
 とはいえ、実際に形勢を逆転させるアイディアにはさすがに唸らされました。ミステリ、というより知的バトルの要素がある作品ではわりと常套手段ではあるのですが、この手段を用いるに至る心理的伏線が緻密に張られていて、そのリスキーさまで含めて視聴者に呑みこませてしまったのが素晴らしい。唐突にやればズルいし、倫理的にも大いに問題はありますが、この作品世界では唯一無二の作戦だった。
 現実の司法、ひいては多くの人間が安易に抱きがちな“正義”に対して力強い警鐘を鳴らしながらも、確かな希望を感じさせる爽快なクライマックスを演出しつつ、なおかつ物語開始当初のダークな雰囲気に回帰する結末にもシビれます。
『VIVANT』のような圧倒的な大作感、ひたすら予測を裏切りつつもスリルとカタルシスを齎す仕上がりとは違いますが、これもまた良作でした。TVerでは第1話と最終話しか観られないし、TBS系列の配信を担うU-NEXTは契約がありませんけど、実はNetflixでも全話が配信されていて、なんとなく、こっちで第1話から観直してみたい気分です。気づかなかった伏線もけっこうありそうだし。

アンチヒーロー | Netflix
有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判で、どれほど不利な証拠がそろっている犯罪者でも、依頼人のために無罪を勝ち取る"アンチ"な弁護士の活躍を描く。

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