大つけ麺博2024、すき焼き肉が乗っちゃった3杯目。

 10月18日の映画鑑賞のあと、大久保公園へ赴き、大つけ麺博に参加してきました。
 雲行きは悪い、けれどときどきパラパラ降る程度で、並ぶときに傘を差す必要はなさそう。安心して、前日木曜日に第二陣に入れ替わったばかりの店舗を見比べ、しばし思案。パンフでいちおう候補は選んでありますが、それでも現地でのインスピレーションを優先するのです。

豆天狗の飛騨高山 和風醤油つけ麺~飛騨牛すき焼きチャーシューのせ~、トッピングは味付玉子。
豆天狗の飛騨高山 和風醤油つけ麺~飛騨牛すき焼きチャーシューのせ~、トッピングは味付玉子。

 と言いつつ、実際に選んだのは、いちばん最初に候補として考えていた、岐阜の飛騨高山に拠点を置く豆天狗の、飛騨高山 和風醤油つけ麺~飛騨牛すき焼きチャーシューのせ~でした。すき焼きチャーシュー、というフレーズに惹かれてしまいました。トッピングは毎度のごとく味付玉子です。
 実は豆天狗は2回目の遭遇です。2022年の大つけ麺博でいちど食べている。でも、明らかに趣は違うので、新鮮な気持ちで挑みました。
 名称通り、つけ汁は醤油ダレです。ただ、説明文によればタレそのものを熟成させ、更に豚、鶏、魚などを贅沢に使った出汁を合わせたもので、辛味の方が強い甘辛。つけ麺では珍しいタイプの味わいです。ここに中太縮れ麺をくぐらせて啜ると、ちょっぴり刺激的で、コクのある辛味が上ってきます。醤油の甘みもあるけれど、終始ピリッとくるこの感じがけっこう好き。散らしてあるネギも辛味の強い小口切りで、まぶされたアオサの風味がちょこっとマイルドな間をつけてくれる以外はずっとピリッと辛く、その向こうに醤油のコクがある。
 麺に乗っているのは、異様に存在感の強いすき焼き肉。2枚なのか、想定では1枚だったものが分かれているのか不明ですが、写真からも解るとおり、麺を概ね隠す大きさ。メンマも極太が2本で、トッピングを加えなくてもけっこうなインパクト。トッピングでは通常のチャーシューや味付玉子の他、すき焼き肉も加えられますが、2枚乗せると食券よりも高くなります……まあ、飛騨牛なのでしょうがない。
 そしてやっぱりこのすき焼き肉がシンプルに美味しい。柔らかくて旨味豊かで、脂身が優しく甘い。単独でも商品として成り立ってますし、辛めのつけ汁にちょっと漬けて食べると、ますますすき焼きらしさが出る。
 ……が、それこそ実は、引っかかったところだったりする。ちょっと変わり種のつけ麺として美味しいし肉も美味しい、ただ、この両方が引き立て合っているのではなくて、それぞれ好き勝手に旨さを確立していて、どうもまとまってない。ぜんぶ1皿に乗せなくても、このつけ麺とつけ汁だけでいいし、こちらの美味しさを引き立てるなら、ここまで肉がすき焼きとして成り立ってるのはしっくり来ない。
 そして、その意味ではもしかしたら橋渡しになるかも、と付け加えた味付玉子が、お店の前には“半熟”と書き添えてあるのに、思ったよりしっかりと固まっていて、つけ汁に溶かすどころか、肉に黄身をつけることも難しかったのが個人的には不満。要は、ここまでやるなら実際のすき焼きのように卵液に漬す感じも試したかったのに、わざわざトッピングで玉子をつけても、こっちはオーソドックスな味付玉子なので、やりたくても出来ない。確かにこの茹で加減でも“半熟”とは呼べるけど、期待していたことが出来ないので、落胆の方が膨らんでしまった。
 本当に、基本的には美味しい。素材もいいし、仕込みが丁寧なのも解る。が、個々が立ちすぎてしまって、つけ麺にすき焼き肉、という趣向の面白さや、そこから想像される楽しみが得られないのでだいぶ損をしている気がします。恐らく、この趣向で客側が満足する味や変化を生み出すには、もっと値段を上げなきゃ無理。食券による統一価格で提供しているイベントには向かなかったのではなかろうか。
 ただ、いいお店なのは改めて実感したので、飛騨高山まで行く機会があったら覗いてみたい。

豆天狗ブース入口の商品案内。
豆天狗ブース入口の商品案内。

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