Massa@Mania presents “春の葡萄祭2025”グレープコンサート at 神田共立講堂。

 本日は久しぶりのコンサート鑑賞です。

 それもグレープ。
 しかも伝説の神田共立講堂。

 ……そもそも、2023年にさだまさしがデビュー50周年を迎えるにあたって、特別企画として復活コンサートを、解散したときと同じ神田共立講堂で実施する、というのが当時のセールスポイントだったのに、なんでか2年後にまたここでコンサートをやっている。
 ファン以外は知るよしもないので、その後について説明しますと、この1回限りの復活のあと、さだまさしは4夜連続の記念コンサートを開催、そのうち1夜をそっくり《グレープナイト》に割り振って、再度ステージが設けられた。しかし、この4夜連続コンサートが売れ行きが良すぎたため、地方公演、追加公演と延々実施された。それまで勤務していたレコード会社を退職してフリーになっていた相棒の吉田政美は、さだまさしのこの無茶振りにず~っと渋々の体で付き合い続けた結果、50周年イヤーを過ぎてもコンサートに呼ばれ、東海ラジオを中心に放送しているさだまさしのラジオ番組『1時の鬼の魔酔い』にもしょっちゅう呼ばれた。挙句、2024年には遂に、さだまさしの個人事務所《株式会社まさし》の社長にまで抜擢、っていうか実質、押しつけられた。
 このあたりでやけになったのか、『1時の鬼の魔酔い』にて吉田政美が2024年の誕生日を祝われた際、「この1年以内にグレープの新しいアルバムのリリースとコンサートを行う」と宣言してしまい、結果が全国4箇所を巡るこの《春の葡萄祭》になったわけです――それで神田共立講堂を使う必然性はない気がするんですが、習慣化してしまったのかも知れない。来年もコンサート、なんてことになったら、また神田共立講堂で催されるのではなかろうか。
 アルバムについては、主に曲を書くさだまさしの負担を軽減するため、あくまでさだまさしのアルバムとして、これはグレープの方が合う、と判断した曲を《グレープ》名義で収録する、というスタイルを所属会社社長という立場から吉田が提案したため、グレープ単独でのリリースはなくなりましたが、コンサートだけでも嬉しい。再始動以来のコンサートはうまく都合がつかず、いちども鑑賞できてなかったので、今回は意地で取りに行きました。主催であるMassa@Maniaでの抽選は外れたけど、ファンクラブの先行で当てたのです。入ってて良かった。
 このコンサートも一気に売れてしまったため、追加公演が決定、実はそちらの会場も神田共立講堂。ますます常小屋と化しつつあります。さすがにそっちまで行く余裕はないので、今日をひたすら楽しみにしてました。

 開場16時、開演17時とはいえ、何せ相手はあのさだまさし、公演時間は予断を許さない。帰ってから透析、というのは、たとえ食事しながらでもちょっと厳しそうなので、午前中に実施。ちなみに、間隔の調整のため、昨日も午前中にしてました。
 あまりに期待に胸が膨らみすぎたか、仮眠というほど眠ることもできずに、予定の時間になったのでお出かけ。
 色々と考えた結果、私の場合は神田駅から歩くのがいちばん解りやすい。1.5kmほど歩いたっぽいけど、大したことではない。真面目に。
 ただ、ここからが大変でした。入場列がまず長く、どうにか会場に入ったと思ったら、人でごった返してる。とりあえずグッズをひとつでも買いたかったのですが、1階のグッズ売場に繋がる列が3階まで伸びてて更に折り返しており、15分くらい並んだところで、係員が「開演までに購入出来ない可能性があります」、と告げに来たので、ひとまず諦め座席へ。
 座席の位置は、ものすごくいい。いまこのくだりを開演直前に大急ぎで書いてますが、前方6列目の中央ブロックなのて演者が肉眼でくっきり見える。音楽系ではこれまでになくいい座席かも知れない。
 というところで、そろそろ開演です。

 ――ちなみにラジオ番組『1時の鬼の魔酔い』は、そもそもがデビュー50周年の節目に、どうしてもラジオをやりたい、というさだまさしの文字通りの気の迷いから始まったため、いつまで迷ってんだ、というツッコミを自他共に受けるようになった結果、今年3月で終了となりました。
 そして現在は、『グレープのもう魔酔わない!』というタイトルになって、コーナーなどまっっったくそのまんまに継続してます。つまり吉田政美はとうとうメインパーソナリティのひとりになったわけです。
 と、余談を挟んだところで本題へ。追加公演をまっさらで楽しみたい方、後日、何らかの形で鑑賞出来ることを期待している方はここでとめてください。改行をたっぷり挟んでから書きます。



























 幕など掛かっていないので、開演前に調整しているらしきバンドメンバーがいたりしましたが、本番になるとまずはさだまさしと吉田政美のふたりだけ登壇、デビュー前に作った最初期の楽曲『紫陽花の詩』をふたりだけで演奏。デュオらしいオープニングです。
 で、1曲終わると、もうトークゾーンです。さださんのソロコンサートだと、最近はもはや落語のネタのごとく枠と演目をきっちり準備しているのですが、グレープの場合もいちおうネタはあるらしいけど基本緩い。
 序盤の話でおかしかったのは、ステージ上に置いてあった謎の箱です。さだまさしも今年で73歳、同級生とかはほとんど引退している年齢です。そういうお友達から、お前が元気にやってるから俺たちも頑張れるんだ、年寄りじみたことは言うんじゃない、と釘を刺されたため、さだと吉田は年寄りじみたことを口にした場合、1000円の罰金を支払うことになった。ここで謎の箱のヴェールを外すと、“×金箱”と書かれた透明な箱。既に何枚か紙幣が投じられてた。ステージ上でも迂闊なことを口にしたらすぐに支払えるよう、ふたりとも現金を準備してステージに上がってました。年寄りじみた話をする大前提。
 ここまで1曲目あとのトークで、2曲目『雪の朝』を演奏すると、またトークです。予め罰金を払って、さだが始めたのは、先日の誕生日に受けたという高齢者教習の話。高齢者と一口に言っても色んな人がいるし、なんとなーく馬鹿にされてるような感覚に触れたものですが、まあ内容が内容なので、予め罰金を支払うのは義務と言えよう。
 高齢者教習の話が終わったところで、ようやくバックバンドが加わって、3曲目『蝉時雨』、4曲目『春への幻想』と連続で演奏。ちなみに、既に17時50分頃。これでもコスパがいい、と言い放つ吉田。ふたたびのトークは、まだ売り出しの頃の話。こうやって何度もネタにするせいか、細部を覚えているさだに対し、基本的に細かいことは忘れている吉田の記憶違いを漫才みたいに挟みつつ、当時のだいぶ大雑把な感じが伝わります。
 5曲目は、山口百恵がお気に入りだったという『殺風景』、そして続いて6曲目『残像』。実は、『殺風景』がきっかけとなってさだは曲の依頼を受け、作ったのが『秋桜』だったそうな。いまや山口百恵の代表曲のひとつとして知られてますが、そう考えると、当初の要望とは違ってたのではなかろうか。ご存じない方は『殺風景』聴いてみてください。
 続くトーク部分は、さっきの部分とも繋がる、グレープ初期に回ったキャンペーンの話。相変わらず吉田が細かいところを忘れているためまごつきつつも、大阪での出来事は、そんな吉田でさえも忘れがたかったらしい。
 7曲目は、プロになることを躊躇していたさだの意識を変えた曲『交響楽』、続いて往年のグレープがイメージを変えるべくリリースした『朝刊』。
 さだが巨人ファンからヤクルトファンに切り替えたあたりの事情や、今回のコンサートグッズについての話を挟んだあたりで、そろそろ時間がだいぶ厳しくなってきたことに気づくさだ。共立講堂はそもそもが大学の講堂だから、ステージ脇に時計が点灯したまんまで、いまどのくらい時間がヤバいのか、全員に一目瞭然なのです。19時には終了しろと言われてるから、と執拗に言っていましたが、たぶん往年のファンは誰一人、時間通りになんか終わらない、と解ってました。
 次のターンでは、解散15年後に《レーズン》としてリリースしたアルバムから、『ジャカランダの丘』、『祇園会』を演奏し、そこからこの一時的な復活当時のレコーディングの話。ジャズミュージシャンのジョージ・ベンソンがラハイナに設立したスタジオでの収録は色んな意味で貴重な経験だったそうですが、2023年のマウイ島山火事で焼けてしまったとのこと。現地の桜に似た花ジャカランダをモチーフにしたこの曲は、リリース当時から私も好きな1曲だったので、ちょっと切ない。
 いよいよコンサートも最終ターン。ここからは2年前の復活に合わせて発表したアルバム『グレープセンセーション』から『夢の名前』、『天人菊』を演奏。薄々感じていたことですが、やっぱりグレープはさだまさしの作家性に依存していた訳ではなく、れっきとしたユニットだったのです。過去の曲でも、吉田のリードギターとハーモニーがあってこそ、という曲は幾つもありましたが、この『夢の名前』という曲では、吉田から歌い始め、主旋律をスイッチしつつサビではハーモニーを聴かせる。さだまさしのコンサートは何度も訪れたことがありますが、ちゃんとテイストが違うのです。トーク部分も、いちおうはネタを決めてあった様子ですが、吉田が随所に加わって、より自由に伸び伸びと語っている。この辺で、地方での公演が好評だったことを受けて、もう一部では来年の会場を押さえはじめてるという話をさだがぼそっと漏らして、吉田が苦い顔をしておりました。長年勤めていた会社を退き、のんびりできるはずがすっかり“どうしてこうなった”状態の吉田さんですが、この際、続くまで頑張ってもらいたい。
 ここでバンドは退き、最後の1曲はふたたびデュオに戻って、最後の1曲『精霊流し』――最後の最後で最大のヒット曲を持ってきたのは、もともとこのイメージに囚われたくなかったからいちど解散する結論を出したふたりの意地だったかも知れません。でも、やっぱりこの二人だけの『精霊流し』は、あり得なかった未来を見ている気がして、非常に感慨深かった。
 時間はとっくに19時半くらいになってましたが、それでもちゃんとアンコールには応えてくれます。バンドも一緒に再登壇して、『グレープセンセーション』よりさだ作詞・吉田作曲の『花会式』を演奏。もういちど退き、更に呼び戻されて、本当の最後の1曲は、さだがソロとしても頻繁に演奏していたためあまりグレープの曲というイメージがない『フレディもしくは三教街 -ロシア租界にて-』。舞台演出にも工夫を凝らした演奏で、圧巻のクライマックスでした。

 本文のまんまだと解りづらいので、以下にちゃんとしたセットリストを記します……ぜんぶ曲は知ってたんだけど、タイトルを忘れてるものが多くて、帰ってから自分のライブラリと照らし合わせて整理しました。

 1, 紫陽花の詩
 2, 雪の朝
 3, 蝉時雨
 4, 春への幻想
 5, 殺風景
 6, 残像
 7, 交響楽(シンフォニー)
 8, 朝刊
 9, ジャカランダの丘
 10, 祇園会
 11, 夢の名前
 12, 天人菊(ガイラルディア)
 13, 精霊流し
 Enc, 花会式
 Enc, フレディもしくは三教街 -ロシア租界にて-

 以上で、本日の公演は終了。撤去作業に入らなければいけない、ということで、急いで場内を出ると、ごった返すロビーを移動して物販に再チャレンジ。先ほどより列は短く、思ったほど時間はかかりませんでしたが、トークでも触れていたとおりに売り切れが多い。いつもは最優先でパンフレット、余裕があればTシャツを購入するのが恒例なのですが、パンフレットはなく、Tシャツは売り切れ。やむなく購入したのは、今治のフェイスタオルと――アクリルスタンド。こういう物販でアクスタを買うのはたぶん初めてだと思う。それなりに二次元好きなのに、初めて買ったのがおじさん2人組、というのもどうなのか。
 買い物を済ませたら、また20分ばかり歩いて、神田駅から電車に乗って帰宅……いまにして思うと、神田駅までの道程からちょこっと寄り道をすれば、つじ田 味噌の章があったので、食べて帰っても良かったかも。帰宅してから食べる旨、母に伝えてあったので、もはや帰るしかなかったんですが。
 ともあれ、とてもいいコンサートでした。本当に来年も開催されるなら、また来ます。

『Massa@Mania presents “春の葡萄祭2025”グレープコンサート』グッズの今治フェイスタオルに、グレープふたりのアクスタを並べてみました。
『Massa@Mania presents “春の葡萄祭2025”グレープコンサート』グッズの今治フェイスタオルに、グレープふたりのアクスタを並べてみました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました