『ばけばけ』感想&うんちく日誌、その1。

ばけばけ
【NHK朝ドラ公式】連続テレビ小説「ばけばけ」。主演は髙石あかり。キャスト相関図・見逃し配信・あらすじ・放送予定など。小泉セツ&八雲(ラフカディオ・ハーン)夫妻がモデルの物語。明治の松江。怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描きます。【作】ふじ...

 とうとう始まりました。日本の文化と怪談を世界に紹介した作家・小泉八雲、その妻で松江藩士の家に生まれ、幕末から明治初頭の動乱、価値観の変化に翻弄されながらもしたたかに生きた小泉セツをモデルとする、2025年後期朝ドラ『ばけばけ』。無茶苦茶楽しみにしていましたし、どーせそのうちにあれこれ語りたくなるはずなので、もう初回が放送されたばっかりの今日から感想とうんちくを記していきます……さすがに毎日はやらない、はず。

 正直、アバンからオープニング曲までず~っとニヤニヤしてました。ここはもう、理想的なものしか見えてません。
 朝ドラなのにいきなり蝋燭に火を点しての怪談、しかも内容は『耳なし芳一』。序盤は幼少期を描くため、出てこない成人後の姿、それから出会う八雲――じゃなかった、レフカダ・ヘブンをまず見せるのは、最近の朝ドラでは常套手段。先行する『あんぱん』でもやってました。掴みは堅実。蛇と蛙が視聴者の心情をおばさま的に代弁してくれそうな仕組みも面白い。
 しかしここでいちばん感心したのは、ヘブンの描写です。特に、喋り方。
 意識して日本語を学んだ小泉八雲は、日常会話はこなしたものの、かなり独特な言葉遣いをしていたという。八雲の死後、セツが記した『思ひ出の記』に、浴衣を買いに行ったときの言葉をこんな風に記してあります。
「しかし、あなた、ただ一円五十銭あるいは二円です。いろいろの浴衣あなた着て下され。ただ見るさえもよきです」
 理解はしっかりしている、けれど言い回しが独特。八雲は晩年までこういう話し方で、セツも八雲に対してはこういう喋り方をしていたらしい。
 そすがにそのまんま喋り方を踏襲しては視聴者に伝わりづらい場面もあるでしょうし、ましてセツ――松野トキまでおんなじ喋り方をしていたらだいぶ困惑する。この、八雲という人物を特徴付ける部分を、きちんと消化して活かそうとしているのが、アバンの短い部分だけで伝わる。蛙と蛇が騒ぐぐらいの仲睦まじさも、記録からすると違和感がない。
 他にも「おお」と思ったポイントはありますが、あとで触れる可能性もあるし、とりあえず胸にしまっておく。
 そしてオープニングもまたとてもいい。『あんぱん』のオープニングは、曲が悪いわけじゃないけど、どーにも最後まで違和感は拭えなかった。しかし今回は、まるでトキとヘブンが自ら歌っているかのような雰囲気と声のトーンで非常にしっくりくる。
 断言は出来ませんが、オープニングの写真はたぶん全部松江での撮影です。本当に見覚えのあるところばっかり。毎年のように訪れていて、「このアングルから撮ったら江戸時代くらいでも充分通用する!」という風景が多いのですが、まさにそういうところばかりです。松江市のひと、さっそくフォトスポットでも設けてたりして。次行くときに確認……出来ればしてくる。
 ドラマはここで時間を遡り、トキの幼少時代へ――既にモデルのセツとだいぶ異なる、或いは別の形で反映しようとしているのかも、と思われる部分がありますが、ここもいったんスルーして。
 ただ間違いないのは、このくらいの時期のセツの家庭が窮乏していたこと。それが御維新をきっかけとする士族の没落に起因しているのも、ドラマの中でトキの父・司之介が恨み言を述べていた通り。とはいえ、自宅の庭で丑の刻参りをするのはどうかと思うけど……脚色へのケチじゃなくて、シンプルに感想として。
 しかし、この貧しさと、それでもトキの祖父・勘右衛門が武士としての矜恃を貫くのにも、モデルの生まれを考慮すれば当然のことで……と、ここもこのあと触れそうな大きな題材もあるのでいったんスルー。

 だいぶあちこちスルーしましたが、もしかしたらドラマでは触れない可能性もあるので、そのときはまた後日まとめて……振られるのか? 覚えてられるのか? いちおうメモは取ってるけど。
 ともあれ、今のところ存分に楽しめそうな気配です。これからもしばしば感想と、持っている資料とかで確認出来るだけのことを書き留めていくつもり――毎日、この分量書くのはちょっと厳しいので、1週間分まとめて、とかそんな感じになるかも知れませんけど、気が向いたらお付き合い下さい。

参考文献
 小泉節子『思ひ出の記』(ハーベスト出版)
 企画展『小泉セツ ラフカディオ・ハーンの妻として生きて』図録(小泉八雲記念館)

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