なんだかやたらと久々の映画鑑賞です……本当は一昨日、1本観てたはずなんですけど、色々あって断念してしまった影響か、なんかすぐにでも観たい心境だったのです。
まあ、観たい映画には事欠かないのですが、ちょうど「これは観ねば!」と発表時に思っていた1本が始まったばかりなので、急ぎ駆けつけてきました。
行き先は、丸の内ピカデリーです――まだ大つけ麺博の会期ですが、新宿ではありません。あとで調べたら新宿バルト9でかかっているらしいのですが、そもそも上映時間が私にはしっくり来ない。仮にしっくり来たとしても、今回はピカデリーを選んだかも知れません。何故なら、SMTのポイントが、前回鑑賞から間が空いたせいで、来週にも切れるところだったから。1本、無料鑑賞出来る以上に貯まっていたので、これを失うのは惜しい。
鑑賞したのは、1985年にOVAとしてリリース、驚異的な映像と音楽、そして難解な内容で、一部でカルト的人気を博した押井守監督伝説の作品を4Kリマスターして劇場公開、海に沈んだ街で、大きな卵を守り続ける少女の姿を幻想的に描いた『天使のたまご【4Kリマスター】(Dolby Cinema)』(Pony Canyon配給)。
……実はチケットの金額にたじろいで、ちょっと思案してたんですが、それでもいちど体験しておきたい、という欲求が勝りました。これでSMTの有効期限を延ばしておけば、一般上映作品を1本、無料で鑑賞出来るし1。
で、ようやく鑑賞した感想は……当時、よくこれをOVAでリリースしたな、でした。パンフレットの監督インタビューによると、当時はむしろ、こういう商売になるか解らない作品の拠り所がOAVだったらしいけど。
OAVはかなり色々と出ていた覚えはありますが、ここまでアート寄りの作品は異例ではなかろうか。構図も、どう考えても家庭のテレビで鑑賞するのに適してない。私がこの作品を知ってたのは、難解すぎるが故に各所でネタにされていたからですが、このある意味時代に合ってない仕様も一因だったのではなかろうか。
ストーリーのほうは、確かに解釈しようと思うとかなり厄介ですが、実は象徴としてはむしろストレートに感じるくらいでした。ただ、説明どころか台詞自体が極めて限られているので、映像からひたすら読み解かねばならないのが人によってハードルは高いでしょうけれど、聖書にある“ノアの方舟”を幻想的な捉え方で表現した作品、というのは把握出来ますし、そのあたりが明快になったあとの描写が、序盤の謎めいたカットと結びついていくくだりはいっそ露骨とさえ言える。
ただ、ひとつひとつの事象が何を背景として、どういう象徴として用いられているのか、という話になると、解釈の幅が広すぎて厄介です。ある要素は停滞から脱却する願望を描いているとも言えるし、背景や意義への無関心、その中での行動の独善性は文明の暗喩とも取れるし。活き活きとしているけれど瞳の虚ろな少女、一切表情を変えないのに感情のざわめきがちらつくような少年(青年?)は明確に対比を為している。ただ、それをどう読み解くか、というのも本作の面白さだと思う。
明快な答も、伝わりやすい感動もない。ただ、しっかりと通底する主題に、緻密なディテールが魂を宿し、観る者に絶え間なく囁きかける。少なくとも、体験として優秀な1本。押井守という監督がその作家性を保ち指示されてきたからこその奇蹟なので、気になる方はスクリーンで観ておくべきだと思う。今後は機会も増えそうな気はするけど。
鑑賞後は、久々に東急プラザ銀座のつるとんたんで昼食……なにせこのところ外食と言ったらラーメンつけ麺ばかりで、久々に食べたくなったのです。どうしようもなく混んでいたらやめるつもりでしたが、もともとキャパが大きい店舗なので、タイミングさえ計れば、一人客は潜り込みやすい。
堪能してきた……と言いたいところですが、堪能しすぎた、と言うべきかも。以前と同じ調子で、明太餡かけ玉子とじ、3つ玉まで増量は可能なので、2つ玉で頼んだのですが、最近の食事量を考えると2つ玉はちょっと多かった。最後はちょっと必死でした。それでももったいないので麺だけはしっかり平らげる。
そのあとはまっすぐ帰り、仮眠を取る……はずが、お腹の重量感が抜けず、寝付けずじまい。本来透析を休む日なのだけど、水分を抜くために透析をしようかと思ったくらいです。最終的にやっぱり透析は休み、その代わり、深夜ラジオは録音に委ねて、早めに就寝することにします。

丸の内ピカデリー、Dolby Cinemaスクリーン入口脇に掲示された『天使のたまご【4Kリマスター】』Dolby Cinema版ポスター。
- 今回の特別上映や、Dolby Cinemaは対象外。他の劇場だと、差額を支払えば使えるところもあるんだが。[↩]


コメント