『ばけばけ』感想&うんちく日誌、その26。(放送第61回~第65回)

ばけばけの最新情報 - NHK
ばけばけのリリース情報や番組からのお知らせなど、最新の情報をお届けします。【NHK朝ドラ公式】連続テレビ小説「ばけばけ」。主演は髙石あかり。キャスト相関図・見逃し配信・あらすじ・放送予定など。小泉セツ&八雲(ラフカディオ・ハーン)夫妻がモデ...

 銀二郎さん再来とイライザさん来日で愛の嵐吹き荒れる。
 ……よかった。今週はとてもよかった。とりわけ金曜日の65回が。
 トキとヘブンがいい感じになったところで、トキの前夫と、ヘブンがアメリカで親密だった女性が同時に登場、という、いかにもドラマ的な波乱。しかし、これはなかなか巧い展開です。結果として、“怪談”という会話によって、トキとヘブンが二人だけの繋がりを築きつつあることを非常にはっきりとさせた。
 そして、それを踏まえたこの第65回、今年最後の放送があまりにも素晴らしい。銀二郎とイライザ、それぞれに想いを伝えたけれど、あえて二人の答えを見せず、トキとヘブン、両者の表情にその感情を重層的に織り込む。そして、その経緯を踏まえた最後の数分間の、あまりにも情緒豊かな描写。朝ドラは終了直後の『あさイチ』MC陣の反応を窺うのも楽しみのひとつですが、鈴木奈穂子アナがしっかり涙ぐんでいたのが見事さを証明している。ロマンスの描写でこの反応を引き出すのは珍しいぞ。
 しかも、ネット記事によれば、松江大橋の場面あたりからはほとんど台本ではなく、トキ役高石あかりとヘブン役トミー・バストウのアドリブをベースにしている、というのですから、脱帽ものです。このところず~っと朝ドラは観続けていて、名作は多々ありますが、思い入れを抜きにしても最高の1回、ひと幕でした。
 ちなみに銀二郎のモデルになった前田為二が、実際には岡山で成功していたらしいことは以前触れたとおり。実際には再会したか私は確認しておりませんが、こういう形で再登場させたのは、モデルのその後を織り込みたかったのと、どうあっても銀二郎を悪人にしたくなかった、スタッフの気遣いでしょう。結果として、トキとヘブンの関係性が深まっていることを際立たせる道具に使われてしまいましたが、それ故にドラマの中で存在感を増したのも確か。これもまた愛。
 あえて次週予告すらもなくした締めくくりは、本当にこれが最終回でもいいくらいですが、当然まだまだ物語は続く。名著『怪談』が誕生するのはまだまだ先ですし、そもそも普通にドラマとして考えても、トキとヘブンが結ばれるには障害が多い。とりあえずは……勘右衛門さんだよなあ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました